研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)トレイルランニングイベントにおける参加者のリスク構造を定量的に明らかにし(調査1)、(2)リスクと回避行動の関連性を検証することであった(調査2)。インターネットリサーチ会社に登録するオンラインパネルの中から、有意にトレイルランニングイベント参加者を抽出し、インターネット調査を行った。調査1の実施にあたり、2020年度の調査により概念化されたリスク10因子を基に、質問項目の作成を行った。 質問項目を作成後、有識者、実務家等に対し、専門家レビュー(n=7)を依頼し、質問項目の修正・追記を行い、10因子50項目が作成された。また、先行研究及び専門家レビューを踏まえ、回避行動20項目が設定された。それらの項目を基に、調査1は、2022年1月6日から12日に行われ、454名から回答が得られた。リスクと回避行動のストレートライナー項目を削除した372名の有効回答を分析対象とした。確認的因子分析及び探索的因子分析を行った結果、リスクは10因子30項目、回避行動は1因子11項目となった。 調査2は、2022年2月25日から3月7日に行われ、500名から回答が得られた。調査1と同様に、リスクと回避行動のストレートライナー項目を削除した348名の有効回答を分析対象とした。回避行動を従属変数に、デモグラフィック特性(性別、年齢、最終学歴、個人年収、トレイルランニング経験年数、イベント参加経験)をStep1の独立変数に、そしてリスク10因子をStep2の独立変数に加え、階層的重回帰分析を行った。その結果、回避行動に対して、年齢(β = .10, p < .05)、性別(β = .20 , p < .01)、時間リスク(β = .24, p < .01)がポジティブな関連性を示し、一方対人的リスク(β = -.18, p < .05)がネガティブに関連していた。
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