本研究は,動いているボールの「止めて蹴る」技術を解明することを目的とした。この目的を達成するために,静止したボールをキックする動作と比較することで,「止めて蹴る」動作の特徴を検討した。本研究により,これまで止まっているボールを対象としていたキック動作の研究が,試合に近い,動いているボールに対する技術の解明につながり,「止めて蹴る」技術はどういった動きなのか,どのような止め方,蹴り方をすればいいのかなどが明らかになった。被験者は,男子大学サッカー部員とし,撮影には光学式モーションキャプチャシステムを用いた。 動いているボール及び,静止ボールとも,ボール初速度,スイング速度は同程度であった。また,蹴り脚の股関節角度には差がみられなかった。さらに,両条件とも,腰の回旋動作をほとんどは行わずに,肩を捻る動作(右肩を引く)を行っていた。一方,動いているボールでは,インパクト直前に体幹を大きく速く捻っていた。
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