生体イメージング技術の進歩により非侵襲性の超音波イメージング法を用いた生体内部の筋・腱動態および形態が明らかになってきた.さらに,それらの形態的特性は身体運動中の筋腱の長さ変化や,力発揮に大きく影響を及ぼしていることも明らかになった.しかしながら,これまでの骨格筋メカニクスに関する研究では,成人や中高齢者を対象とした調査が多く,様々な年代における骨格筋の発育発達は明らかにされていない.そこで本研究は乳幼児期のアキレス腱形態の発育について調査し,その発育は遺伝的要因によって引き起こされるのか,それとも環境的要因によって引き起こされるものか明らかにすることを目的とした. 平成31年度は一昨年度,昨年度に続き下腿三頭筋(腓腹筋,ヒラメ筋)の筋束長,羽状角,アキレス腱横断面積,アキレス腱長2種類を超音波画像診断装置によって測定し,月齢,身長,体重,下腿長も併せ,延べ700名弱の乳幼児(0-6歳児)をサンプルとして獲得した.また並行して幼児の体力・運動能力調査も実施し,200名弱のサンプルを獲得した.その結果,25m走と立ち幅跳びの記録はアキレス腱の長さと有意な相関関係を認め,アキレス腱の形態的特性は,運動能力にも関与するものと考えられた.さらに裸足保育を実施している園児と靴着用の園児のアキレス腱形態についても比較し,裸足保育実施園・園児のアキレス腱は有意に長いことを明らかにした. これらの研究成果は学会発表や講演会などで広く公表し,さらに現在,学術論文を2編投稿中である.
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