本研究では、筋損傷後のアイシング(ICE)によって線維化が助長される機序、ならびにその負の影響を相殺し得る方策について検証を行った。筋損傷後のICEによってヒラメ筋と足底筋で異なる遺伝子発現応答が認められた。また、ICEと温熱刺激(HOT)を併用するとICEによるヒラメ筋の線維化の亢進は減弱され、その効果はHOTをより早期に開始した条件で大きかった(ただし、線維化の程度は損傷のみ場合と同等)。以上の結果から、筋損傷後のICEがもたらす生理作用は遅筋と速筋で異なること、ICEとHOTの併用はHOTの開始時期を早めることで線維化の程度を無処置の場合と同等のレベルまで抑制できることが示唆された。
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