過去の研究で胸腰髄損傷者が、上肢運動を長時間行っても腎機能に悪影響がないことがわかっている。しかし、頚髄損傷者に関しては不明である。本研究は、頚髄損傷者の運動時腎機能を解明することを目的とした。健常成人と頚髄損傷者を対象とした最大酸素摂取量 50%強度30分の上肢エルゴメータ駆動運動と、頚髄損傷者と胸腰髄損傷男性を対象とした車いすハーフマラソンレースでの腎機能と利尿関連ホルモン動態を測定した。いずれも頚髄損傷者の腎機能に明らかな悪影響はなかった。頸髄損傷者はアルドステロンの反応が亢進することでNaの再吸収を補填している可能性があり胸腰髄損傷者に比べてNa排泄が亢進している可能性も示唆された。
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