体重階級制競技では、試合前の計量に向けて食事や飲水を制限し、短期間に体重を減らす急速減量が多くの選手に実施されている。本研究で、急速減量による各臓器におけるタンパク質代謝の応答機序を明らかにするために、ラットへの安静(安静群)あるいは4 週間の水泳運動(運動群)を実施し、さらに3日間の食事制限および1日間の飲水制限により急速減量を負荷した。これまでに骨格筋(長趾伸筋・ヒラメ筋)および消化管(小腸・大腸)におけるタンパク質代謝応答について検討してきた。本年度は、腎臓におけるタンパク質分解応答について検討した。その結果、運動・急速減量群において腎重量の有意な減少とアポトーシス関連因子のタンパク質発現量の上昇が認められた。また、炎症性サイトカイン類の mRNA発現量は、安静群において急速減量によって有意に上昇し、運動群では急速減量によって安静・急速減量群よりも更に上昇した。加えて、炎症性サイトカインによって発現が増加し、アポトーシス関連遺伝子の発現を上昇させることが報告されているCox-2およびmPGES-1 mRNA発現量が炎症性サイトカインと同様の挙動を示すことを明らかにした。
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