研究課題/領域番号 |
17K13196
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
増田 紘之 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助手 (10738561)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 糖代謝 / 運動 / 骨格筋 / ヘキソキナーゼ活性 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
血糖(グルコース)は骨格筋の重要なエネルギー源であり、運動中に活動筋がGLUT4(糖輸送担体) の働きによって血糖を盛んに取り込むという分子機序はよく知られている。しかし、活発に取り込まれた血糖が余すことなく効率的に解糖系とミトコンドリアでのATP 生成に利用されるのに必要な機序には不明な点が多い。 そこで、解糖系の源流段階に位置して取り込まれた血糖をリン酸化するヘキソキナーゼが、ミトコンドリアと協調して活動筋の血糖利用に重要な役割を果たすとの可能性を検証するために、実験動物を用いて、「運動中に活動筋ではヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合が増加する(仮説1)」ならびに「この結合は運動によるAkt キナーゼ活性化によって媒介される(仮説2)」との仮説を立てた。 運動によってAktキナーゼは活性化されるが、これまでに我々はAktキナーゼ活性化は、LT強度未満の低強度運動では得られないが、LT(乳酸性作業閾値)以上の運動強度によって得られることを確かめた。したがって、ヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合もLT強度から高まることが予想される。現在、ヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合状態を確かめるために、ラットの骨格筋から、遠心分離法を用いたミトコンドリアを単離する手法の確立を目指している最中である。今後、LT強度に焦点を絞り、この運動でヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合が高まるか確かめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
運動によってAktキナーゼは活性化されるが、これまでに我々はAktキナーゼ活性化には、LT(乳酸性作業閾値)以上の運動強度が必要があることを確かめた。そこで、ヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合もLT強度から高まることが予想される。現在、ヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合状態を確かめるために、ラットの骨格筋から、遠心分離法を用いたミトコンドリアを単離する手法の確立を目指している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、LT強度未満の低強度運動では、ヘキソキナーゼのミトコンドリア膜への結合は高まらないが、LT強度を超える運動強度では始めてこの結合が高まるのかを確かめる予定である。 具体的には、筋のホモジネートを700×g で10 分間遠心分離して細胞片や核を取り除き、続いて20,000×gで3 分間遠心分離し、この上清を細胞質画分として抽出し、沈殿をミトコンドリア画分として抽出する。続いて、ヘキソキナーゼに対する特異的抗体を用いて、ウエスタンブロッティング法によって筋細胞質画分とミトコンドリア画分に存在するヘキソキナーゼタンパク質量を評価する。尚、ミトコンドリア画分に存在するヘキソキナーゼタンパク質量はミトコンドリア膜への結合量の指標となる。これによって、ヘキソキナーゼがどの程度、ミトコンドリアへ移行するのか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由は、予定よりも研究の遂行が若干遅れているためである。使用計画としては、ミトコンドリアの単離ならびにウェスタンブロッティングといった生化学的実験を駆使して、積極的に研究を進めていく次第である。
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