研究実績の概要 |
運動パフォーマンスが最も良く発揮される時刻(ピークパフォーマンス時刻)は、深部体温の高い夜だと知られている。しかし、深部体温のリズムは生体リズム(朝型・夜型)で異なるため、個人の生体リズムの違いによってピークパフォーマンス時刻は異なる可能性がある。本研究では、アスリートを対象に、①生体リズムを時計遺伝子発現リズムで客観的に評価し、質問紙による既存の評価法との関連を検討すること、②生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること、③介入によって生体リズムやパフォーマンスの日内変動を調節する手法を検討すること、の3点を明らかにすることを目的とする。平成30年度は②「生体リズムの違いと運動・認知パフォーマンスとの関連を検討すること」に関して、12名を対象に、時計遺伝子発現リズムで評価した生体リズムの違いがパフォーマンスのピーク時刻・日内変動に影響を及ぼすか否の実験を実施した。本実験では時計遺伝子の発現量を1日の6ポイント(6,10,14,18,22,2時)のリズムで評価し、発現ピーク時刻、振幅と朝夕でのパフォーマンス変動との関連を検討した。現在、10名の解析が終了している。アスリートの個人の生体リズムの違いと朝夕でのパフォーマンス変動との関連を評価することができた。令和元年度は、引き続き採取したサンプルの解析を進めていくとともに、介入によって生体リズムを調節することでパフォーマンスの日内変動を調節できるか否か実験を実施予定である。
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