研究実績の概要 |
本研究の目的は、習慣的な糖質摂取量の多寡が糖取り込み能と筋グリコーゲン回復に及ぼす影響を明らかにすることである。さらに、習慣的な糖質摂取量からの差分を基に運動後の摂取量を決定した場合、筋グリコーゲン回復の個人差が軽減するかを検証するものである。本年度は、習慣的な糖質摂取習慣の多寡が運動後の筋グリコーゲン回復に及ぼす影響に関して検討した。 本研究は12名の健常男性を対象に実施した。対象者の糖質摂取量を3日間の食事記録法と秤量法を用いて算出し、糖質摂取量が少ない群(L-CHO, n = 6, 糖質4.5 ± 0.6 g/kg/d)と多い群(H-CHO, n = 6, 糖質 6.4 ± 0.6 g/kg/d)に分けた。対象者は、高強度持久性運動により筋グリコーゲン量を枯渇させた後、24時間で7g/kgの糖質を摂取した。筋グリコーゲン量は運動前に比べ、運動後で有意に低下した(両群 P < 0.05)。運動4, 12, 24時間後にかけ筋グリコーゲン量は徐々に回復し、運動12, 24時間後では運動前の値と比べ有意な差はなかった。また、L-CHOの筋グリコーゲン回復率は、統計的な有意差は認められなかったものの、H-CHOに比べ運動24時間後に10%高値を示した。 本研究の結果から、習慣的な糖質摂取量の多寡は運動後24時間における回復動態に影響を与える可能性が窺える。
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