研究課題/領域番号 |
17K13208
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
金田 渉 帝京大学, 医学部, 助教 (30778353)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校保健 / 思春期 / メンタルヘルス / 精神保健 / 精神医学 / アウトリーチ / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
①原稿執筆:大修館書店の教科書「新高等保健体育」の教授用資料である「新高等保健体育指導ノート」に、本研究で得られた知見を盛り込みつつ、2編の解説文を執筆した(A:16章「精神疾患の特徴」、B:特設「思春期における脳と心の発達と自己実現」)。思春期の精神的健康に関する大規模コホートである東京ティーンコホートと共同し、査読付き論文6報を発表した(共同著者)。 ②副読本教材作成:当研究の成果物として作成した高校生向け教材「うつむいているあの子のことが、このごろ少し気になる」の内容を含む、動画付きの授業用PowerPointスライドを作成した。これは、2022年度からの新学習指導要領における精神保健に関わる内容にも対応する内容であった。③に述べるパイロット授業を経て、教材の改訂を行った。同副読本は、web上に一般公開されている。 ③ ②に述べた2021年11月月に、埼玉県内の私立高校で、高校1年生300名程度を対象に、パイロット授業を実施した。同授業においては、セルフモニタリン グ・援助希求を含む質問紙調査を事前/事後に実施した(結果は解析中)。 ④アウトリーチ:高校教諭向けに、本研究のテーマであるセルフモニタリング・援助希求を主題とした精神保健研修会を3回実施した。また、学校精神保健と臨床精神医学との連携として、都立高校へ計9回の訪問を行い、精神保健相談および個別ケース検討会を行った。この活動により、精神的不調が発見さ れ精神科受療につながったケースが3例あり、研究活動の社会還元として意義があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度に作成した教材「うつむいているあの子のことが、このごろ少し気になる」を用いて、実際の授業、さらに効果検証(事前・事後のアンケート調査)を実施する予定であったが、新型コロナウィルス禍の影響から、2020年度までは実施ができなかった。2021年にようやく、300名を対象にパイロット授業を実施することができた。 学校現場で生徒や教諭らにプログラムを紹介することは進んでおり、2021年度内には授業で実際に用いるPowerPoint教材を作成した。また、学校で精神的危機にある生徒をピックアップして、精神科医療につなげる実践もできた。本研究で得られた知見を、書籍や研修会としてフィードバックすることもできた。 以上を総合し、研究進捗は「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度までに十分な実施が叶わなかった、生徒向け教育プログラム授業を展開し効果実証を行う。2021年度末の時点で、すでに埼玉県内での授業実施(300名程度)が決定しており、また1,000名程度への実施も交渉中である。同時に授業前後で生徒/教諭への質問紙を実施し、セルフモニタリングや援助希求の知識・態度・行 動がどのように変化するかを解析 し、学術発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響から学校での授業実施・アンケートにおける新規出費が生じなかった。研究期間1年間延長し、2022年度に繰り越しすることとした。
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