研究課題/領域番号 |
17K13211
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
竹田 真由 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (00423054)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオバンク / 精度管理 |
研究実績の概要 |
健康診断受診者を対象に行われているバイオリソース(BR)の保管について、保管年数によるサンプルの生化学検査の測定値の変動を調べた。初回の測定値についてはデータベースに入力された値とし、保管状況の影響について検討を行った。 まず、これまでの先行研究より総タンパクやアルブミンの変動は小さく、中性脂肪は大きく変動していたので、同一検体の小分けされたサンプルを用いて初回の測定値、先行研究時での測定値、および本年度の測定値の変化について比較することとした。その結果として、先行研究時に明らかだったばらつきが本年度の測定ではほとんど見られなかった。これより、当初予定していたバイオマーカーごとの使用可能期限については再検討することとなった。 本年度の結果より、年度間における測定のばらつきについて再考した結果、2016年の測定ではBRを出庫してから測定までに時間を要していたことが分かった。出庫から測定の検体取扱いについては、輸送方法だけは統一していたものの到着後の保管についても、2016年の測定と本年度の測定で異なっていることが分かった。しかしながら、2次凍結はされていないことも分かった。 これらのことよりバンキングを行う段階での精度管理だけでなく、BRを出庫した後の使用方法にもマニュアルが必要であることが示唆された。これについては輸送方法にも大きく影響すると考えられ、来年度は様々なパターンを想定してマニュアルを確立する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの先行研究より総タンパクやアルブミンの変動は小さく、中性脂肪等の脂質は大きく変動していたので、変動する測定項目を除外する予定であった。しかしながら、本年度の測定では中性脂肪の変動が小さかった。そこで、なぜこれまでの結果と異なったのかを研究協力者と検討した結果、-20℃からバイオリソースを出庫した後、測定箇所まで運ぶ工程までは毎回同じであったが、そこから測定されるまでの時間が異なっていたことが分かった。数時間の保存時間があったことにより、測定値にばらつきが生じてしまったと考えられた。そのため、輸送についてのマニュアル検討まで着手することができなかった。また、データを取得するためには、出庫から測定までのプロトコールを複数検討した上でマニュアルを作成すべきであるということとなり、来年度は出庫後の保存時間および温度条件を検討することとしている。そこから、最適かつ負担の少ない条件を設定したうえでマニュアル作成に進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた結果をもとにいくつかの条件設定をしたうえで、検体の出庫から測定を行う予定である。その結果から最適条件を確認し、検体数を増やして測定を行う。条件設定の段階では、初回時の測定値が基準値内にある検体を抽出したうえで検討を行い、検体数を増やす際には、多岐にわたった検体を用いて検討を行う必要がある。この結果を早急に出したうえで、協力施設にて測定が可能であれば、NaやKなどの測定項目を増やし、より実用性の高い作業工程マニュアルの作成を計画している。 また、輸送に関しては本年度に検討に至っていないため、最適な輸送ボックスの検討および管理方法について調査をする必要がある。衛生検査施設や試薬の配送等についても調査しながら、バイオリソースが高品質な状態で使用者へ届くマニュアル作成を行う予定である。 さらに来年度の後半からは時系列データを抽出し、食事調査と健康診断の結果による関連性を見出すための解析(統計学的検証)を行う予定としているが、バイオリソース使用マニュアルの作成を最優先とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予期していない測定結果を生じてしまったことが最大の理由である。そのためにバイオリソースの輸送で使用する輸送用ボックスの購入まで至らなかった。また、新たに測定をする必要が生じているため、試薬をさらに購入する予定である。また、輸送に関するマニュアル作成も来年度で完成させる計画となっているため、早急にボックスの購入を行う予定である。 また、来年度に予定していた測定およびデータ解析については、計画通り行うことが可能であると考えられ、PCや試薬などは計画通りの購入を予定している。
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