研究課題/領域番号 |
17K13212
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
秋武 寛 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 准教授 (10736408)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 幼児期運動指針 / 運動能力 / 身体活動量 / 生活習慣 / 酸素摂取量 / 心拍数 / 発育発達 |
研究実績の概要 |
わが国では文部科学省が、「幼児期運動指針」で「様々な遊びを中心に毎日合計60分以上楽しく体を動かす」という目標を掲げているものの、具体的な推奨値が設定されていない。そこで本研究は、幼児の運動能力(質的、量的評価)、日常の身体活動量(歩数、座位行動時間、低強度活動時間、中・高強度活動時間、高強度活動時間、1回あたりの座位行動持続時間、中・高強度活動持続時間)、生活習慣調査、生活行動記録との関連を明らかにし、「幼児期運動指針」への具体的な推奨値を作成するための基礎研究を展開することが目的である。①ActiGraphの精度の検証のためトレッドミル多段階漸増負荷テストを実施し、精度を明らかにした。②運動の動きなど質的な評価である運動能力測定は、移動系動作スキル6種目(走る、ホップ、スライドなど)と操作系動作スキル6種目(バッティング、キックなど)、合計12種目を測定した(Ulrich, 2000)。タイムなど量的な評価である運動能力測定は、25m走、立ち幅跳び、硬式テニスボール投げ、両足連続飛び越し、体支持持続時間、捕球の6種目を測定した(幼児期運動指針、2012)。③身体活動量は、ActiGraphを用いて24時間1週間連続して測定した(入浴、水泳以外)。④生活習慣調査は、生活習慣、生活環境、運動習慣などのアンケート調査を実施した。⑤生活行動記録の調査は、日常の身体活動量調査中に、子どもが登園中には担任の先生に、降園後には保護者に分単位で幼児の生活行動を「生活行動記録用紙」に記入してもらった。その結果、日本人幼児を対象にトレッドミル多段階漸増負荷テスト中におけるActiGraphの精度は、酸素摂取量および心拍数に正の相関関係が認められた。また運動能力(質的、量的評価)と日常の身体活動量、生活習慣に関連性が認められた。今年度以降、細部にわたり関連性を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の最大の成果は、日本人幼児を対象にトレッドミル多段階漸増負荷テスト中における酸素摂取量および心拍数との関係から、加速度計ActiGraphの精度を確認した点である。トレッドミル多段階漸増運動負荷テストの測定は、ジョンソンヘルステックジャパン株式会社製(日本)のAdventure3(走行面140×49, 5cm)を用いた。トレッドミルは、速度が0.8km/hから18.0km/hの速度範囲であり、傾斜は、0%から10%までの範囲で傾斜を傾かせることができるトレッドミルである。測定は、他の先行研究の参考に、座位安静を20分行った後に、歩行3分間(3km/h)、速歩3分間(4km/h)、走行3分間(5km/h)を行った。日本人幼児を対象に酸素摂取量および心拍数から加速度計ActiGraphの運動強度を明らかにするために、すべての測定器の時間を同期させ、加速度計ActiGraphの精度を明らかにした。また運動能力(質的、量的評価)は、運動能力測定を行い、先行研究を基に、評価した。日常の身体活動量は、ActiGraphを用いて1週間24時間連続して測定し(入浴、水泳以外)、歩数、座位活動時間、低強度活動時間、中・高強度活動時間、高強度活動時間、連続した座位活動時間、中・高強度活動時間を、さらに分析している。生活習慣調査は、生活習慣、生活環境などアンケート調査を実施した。生活行動記録は、生活行動を分単位で調査し、一週間の子どもの生活行動を明らかにした。運動能力(質的、量的評価)、日常の身体活動量、生活習慣調査、生活行動記録の関連性は、統計的手法を用いて関連性を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度測定した5-6歳の幼児を対象に、平成29年度と同様に運動能力(質的、量的評価)、日常の身体活動量(歩数、座位行動時間、低強度活動時間、中・高強度活動時間、高強度活動時間、1回あたりの座位行動持続時間、中・高強度活動持続時間)、生活習慣調査を実施し、縦断的な関連性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費、人件費、その他は、他の個人研究費などの研究費より充当することができたために、次年度に物品費に当てて計上する予定である。
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