研究実績の概要 |
わが国では文部科学省が、「幼児期運動指針」で「様々な遊びを中心に毎日合計60分以上楽しく体を動かす」という目標を掲げているものの、具体的な推奨値が設定されていない。そこで本研究は、幼児の運動能力(質的、量的評価)、日常の身体活動量(歩数、座位行動時間、低強度活動時間、中・高強度活動時間、高強度活動時間、1回あたりの座位行動持続時間、中・高強度活動持続時間)、生活習慣調査、生活行動記録との関連を明らかにし、「幼児期運動指針」への具体的な推奨値を作成するための基礎研究を展開することが目的である。①ActiGraphの精度の検証のためトレッドミル多段階漸増負荷テストを実施し、精度を明らかにした。②運動の動きなど質的な評価である運動能力測定は、移動系動作スキル6種目(走る、ホップ、スライドなど)と操作系動作スキル6種目(バッティング、キックなど)、合計12種目を測定した(Ulrich, 2000)。タイムなど量的な評価である運動能力測定は、25m走、立ち幅跳び、硬式テニスボール投げ、両足連続飛び越し、体支持持続時間、捕球の6種目を測定した(幼児期運動指針、2012)。③身体活動量は、ActiGraphを用いて24時間1週間連続して測定した(入浴、水泳以外)。④生活習慣調査は、生活習慣、生活環境、運動習慣などのアンケート調査を実施した。⑤生活行動記録の調査は、日常の身体活動量調査中に、子どもが登園中には担任の先生に、降園後には保護者に分単位で幼児の生活行動を「生活行動記録用紙」に記入してもらった。その結果、日本人幼児を対象にトレッドミル多段階漸増負荷テスト中におけるActiGraphの精度は、酸素摂取量および心拍数に正の相関関係が認められた。また運動能力(質的、量的評価)と日常の身体活動量、生活習慣に関連性が認められた。
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