研究課題/領域番号 |
17K13218
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
根本 みゆき 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80754316)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前頭側頭型認知症 / 運動療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、運動療法が前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia: FTD)の行動異常 に及ぼす効果とその機序を明らかにし、FTDに対する新たな治療法および支援策を構築することである。本目的を達成するために以下の3つの研究課題を設定した。課題1:介入内容決定のための予備検討、課題2:FTDに対する運動療法の効果①、課題3:FTDに対する運動療法の効果②。 上記の課題の中で、本年度は課題2を実行し、下記の成果を得た。研究課題1で作成した運動介入プロトコルを元に、運動介入を行った。FTDの診断基準に合致する男性5名(61-77歳)、健常群としての女性4名(61-77歳)を研究対象とした。運動療法の効果検証のために、近赤外分光分析法(functional near-infrared spectroscopy: fNIRS)測定、認知機能検査、身体機能検査、各種質問紙を実施した。また、FTDの病態特徴である常同行動に着目した運動介入や調査を実施した。現在、データ解析を進めており、それぞれの測定結果について精査中である。 FTD に対する非薬物療法はほぼ皆無であり、本研究の目的が達成され、FTD に対する運動療法の有効性が証明されれば、非薬物療法の第一の手段として大きな役割を果たすことができる。本研究はFTD に対する新たな治療戦略に資する、社会的意義のある研究と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、「課題2:FTDに対する運動療法の効果①」について取り組み、運動介入の遂行、効果検証のためのデータ収集について着実に進めることができており、「おおむね、計画通りに進展している」と言える。 特に、運動介入ではFTDの病態特性に応じた運動内容を新規に提案できる可能性を見出し、データを収集することができた。極めて難しく、また限られた対象者の中、運動介入を成功させたことは十分な成果であると言える。現在、データ解析を進めており、それぞれの測定結果について精査中である。 以上から、現在までの進捗状況としては、「おおむね計画通りに進展している」といえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、引き続き運動介入を予定している。介入終了後、2020年中頃にはデータの整理・収集が完了する予定であり、後半にかけて論文および学会発表により成果発表を積極的に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
産後および育児休業のため、次年度使用額が生じた。 次年度の助成金使用計画について、物品費:研究遂行に必要な物品の購入(心理および身体検査セットなど)、旅費:国内および国際学会の参加費、人件費・謝金:研究サポート要員への支払い、その他:国際学会誌投稿費など、を予定している。
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