研究課題/領域番号 |
17K13219
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
山田 孝禎 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (60413770)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 椅子立ち上がり動作 |
研究実績の概要 |
椅子たち上がり動作は、全ての日常生活動作に先立つ動作であるため、その成就の可否は、高齢者の自立度に大きく影響する。この動作は、体重心を支持基底面上に移動させ、体重心の安定性を保持しながら上方向に移動することで成就される。つまり、体重心の安定性を保持するためのバランス機能や体重心を上方向に移動するための筋力に優れる身体機能水準の高い高齢者の場合、比較的容易に椅子立ち上がり動作の成就が可能である。一方で、前述に劣る高齢者であっても、多くの場合椅子立ち上がり動作の成就が困難になるわけではない。彼らの椅子立ち上がり動作は、体幹を前方に大きく屈曲し、体重心を支持基底面上に移動させ、ゆっくり膝・股関節を伸展させるストラテジーをとることが多い。しかし、これら椅子立ち上がり動作成就ストラテジーと身体機能水準との関連については明らかにされていない点が多い。 本研究の平成30年度における実施計画は、平成29年度からの2年間での研究内容ならびにその目的に含まれる。つまり、平成29年度からの2ヵ年において、これまでの先行研究において十分に明らかにされていない高齢者の椅子立ち上がり動作の成就ストラテジーを定量化し、それらをパターン分類することを目的とした。 具体的には、多様な椅子立ち上がり動作成就ストラテジーを有する高齢者集団約200名を対象に、椅子立ち上がり動作の動作分析を行った。また、バランス機能、下肢筋力を始め種々の身体機能項目や疾病・障害等の既往歴等の調査も同時に行い、高齢者の多様な特徴について定量化し、これらと椅子立ち上がり動作の成就特性との関係について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、平成29年度からの2ヵ年で、多様な特性を有する高齢者集団における椅子立ち上がり動作の成就ストラテジーのパターン分類を行うことを目的としている。研究実績の概要においても示したとおり、多様な椅子立ち上がり動作成就ストラテジーを有する高齢者集団約200名を対象に椅子立ち上がり動作の動作分析を行い、バランス機能、下肢筋力等の身体機能、ならびに疾病・障害等の既往歴との関係を検討した。以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度からは、椅子立ち上がり動作成就が困難あるいは不可能な高齢者に対する機能的トレーニングプログラムを提案し、その有効性について明らかにする。そのために、まずいかなる椅子立ち上がり動作成就ストラテジーを獲得することで、動作が成就できるようになるか、成就ストラテジーを獲得するためのトレーニングプログラムを検討する。それらが確立した後、椅子立ち上がり動作が困難あるいは不可能な高齢者に対して、トレーニング介入を行い、効果検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
椅子立ち上がり動作成就ストラテジーを評価するためのシステムに費やす予算を抑えることができたため、未使用額が発生した。次年度は、機能的トレーニングプログラムの効果検証を行うにあたり、ストラテジー評価とは異なる評価指標(活動量や運動内容・強度等)の導入が必要不可欠となる。前年度までの未使用額ならびに本年度の予定額を合わせて、新たな評価指標の導入に際し必要な機器の購入等に充てることを検討している。
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