研究課題/領域番号 |
17K13224
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤巻 慎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特別研究員 (10795678)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サテライト細胞 / Notch1 / Notch2 / 自己複製 |
研究実績の概要 |
骨格筋幹細胞(サテライト細胞)の数は規定する分子基盤としてNotchシグナルに着目した。Notchシグナルは種々の組織の形成や再生に必須の役割を果たしており、細胞表面に発現するNotch受容体に細胞外リガンドが結合することでシグナルが活性化され、標的遺伝子の転写を促進する。サテライト細胞には、3種類のNotch受容体(Notch1-3)が発現していることが確認されているものの、Notch1およびNotch2の機能は明らかになっていない。そこで、タモキシフェンの投与によってサテライト細胞特異的に遺伝子組換え酵素Creが発現するPax7-CreERT2マウスとNotch1-floxedマウス、Notch2-floxedマウス、Notch1-floxed;Notch2-floxedマウスをそれぞれ掛け合わせて、サテライト細胞特異的Notch1欠損(N1KO)マウス、サテライト細胞特異的Notch2欠損(N2KO)マウス、サテライト細胞特異的Notch1/Notch2欠損(DKO)マウスを作出した。遺伝子改変を誘導して5日後にそれぞれのマウスから前脛骨筋と長趾伸筋を採取し、組織切片と単一筋線維の免疫染色を行なった。その結果、N1KOマウスおよびN2KOマウスでサテライト細胞数が減少し、DKOマウスではほとんど枯渇することを見出した。また、DKOマウスから単離したサテライト細胞を増殖させたのちに遺伝子改変を誘導し、活性化したサテライト細胞におけるNotch1およびNotch2の機能を評価した。その結果、Notch1およびNotch2の欠損による筋分化の促進と自己複製の抑制が観察された。以上より、サテライト細胞において、Notch1およびNotch2は筋分化を抑制し、自己複製を促進することで幹細胞プールの維持に貢献していることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定より早くサテライト細胞におけるNotch遺伝子の機能解析を行うことができた。また、研究成果をまとめた論文が学術雑誌「Stem Cells」に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はサテライト細胞におけるNotch遺伝子の機能を明らかにした。次年度は、加齢に伴って起こるサテライト細胞の機能変化にNotchシグナルが関与するかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用する物品を想定していたよりも安く購入することができた。次年度の物品購入費に充てる。
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