癌幹細胞においてALDH1、CD133、CD44などのマーカーが発現することも報告されたが、これらは癌幹細胞に特異なマーカーではなかった。以前の既報の研究において、胃癌幹細胞マーカーとなりうる分子として、RBBP6、ALDOA、HSPA4、HSPA9、DCTPP1、GLG1、VPS13A、KRT18の8つを同定した。それらには、胃粘膜細胞以外でも発現する蛋白も含まれており、乳癌幹細胞の存在を知るバイオマーカーとしても有効である可能性があった。 そのためまずは、大阪市立大学医学部附属病院の乳腺・内分泌外科学の乳癌手術標本を用いて、上記蛋白が乳癌組織でも検出されるのかについて、免疫組織学的に検討をおこなった。 大阪市立大学医学部附属病院の健診施設であるMedCity21では、受診者から文書による同意を得て血液サンプル(血清、血漿)とDNAを保存するバイオリポジトリ(バイオバンク)を構築した。このバイオリポジトリサンプルを用いて、上記蛋白物質が乳癌患者の血液中で特異的に検出されるかについて検討した。 そして、バイオリポジトリサンプルを用いて、非癌検診者と乳癌が早期発見された受診者の血液中のmicroRNAを網羅的に比較検討し、乳癌を早期に発見しうるバイオマーカーを探索的に検討した。
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