研究課題/領域番号 |
17K13231
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
小林 正樹 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 助教 (30795612)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 白色脂肪組織 / カロリー制限 |
研究実績の概要 |
抗老化・寿命延伸効果を示すカロリー制限(CR: Caloric Restriction)の本体として、白色脂肪組織(WAT: White Adipose Tissue)におけるミトコンドリア機能維持が知られている。申請者らはCR によってミトコンドリアタンパク質の成熟に必要なミトコンドリアシグナルペプチダーゼMIPEP が誘導されること、及びミトコンドリア品質維持機構に重要とされるSIRT3 がWATにおいて活性化されることを見出した。以上より申請者は「CR におけるSIRT3 の活性化はMIPEP が担っている」という仮説を想定した。本研究では、MIPEP を遺伝子操作した細胞及び動物を用いてこの仮説を立証することを第一の目標としている。さらに第二目標として、MIPEP のCR 効果への寄与の確認とSIRT3 以外のMIPEPの基質の探索を行う。これらにより、MIPEPがミトコンドリアタンパク質の成熟を介して、包括的にミトコンドリア機能を制御し、CRの抗老化・寿命延伸効果に寄与するか否かを明らかとする。 当該年度では、上記の第一目標であるSIRT3とMIPEPの関連について解析を行った。具体的には、MIPEPを遺伝子操作した脂肪細胞株を用いて、活性型SIRT3量の測定や、それに付随して変化すると考えられるミトコンドリア機能と酸化ストレスの程度を評価した。また、動物モデルの作製にも着手した。 上記仮説の一部である「SIRT3の活性化とMIPEPとの関連」について立証し、国際論文として発表することで、研究実績を広く社会に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり、本研究計画の一部を論文として発表した。一方で脂肪細胞株のミトコンドリア機能と酸化ストレスの程度について計画していた解析内容の一部(蛍光色素によるミトコンドリア量や還元型/酸化型グルタチオン比の測定)は現在解析中である。また、動物レベルの解析も現時点ではMIPEPノックアウトマウスの作製中という段階である。そのため、当該年度の研究計画の進捗はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、当該年度で完了できていないMIPEPを遺伝子操作した脂肪細胞株のミトコンドリア機能に関する解析(進捗状況で述べた項目に加え、脂肪酸酸化の程度や酸素消費量など)を行い、MIPEPの機能に関するデータを蓄積していく。一方でMIPEPノックアウトマウスの作製を継続し、作製が終了次第MIPEPのCR効果への影響を評価する。さらにプロテオーム解析を用いたSIRT3以外のMIPEPの基質の網羅的な探索も実行していく。
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