研究課題
抗老化・寿命延伸効果を示すカロリー制限(CR: Caloric Restriction)の本体として、白色脂肪組織(WAT: White Adipose Tissue)におけるミトコンドリア機能維持が知られている。申請者らはCR によってミトコンドリアタンパク質の成熟に必要なミトコンドリアシグナルペプチダーゼMIPEP が誘導されること、以上より申請者は、MIPEPはCRによるミトコンドリア機能維持において重要な働きをするという仮説に至った。本研究では、MIPEP を遺伝子操作した細胞及び動物を用いてこの仮説を立証することを第一の目標としている。さらに第二目標として、MIPEP のCR 効果への寄与の確認とMIPEPの基質の探索を行う。これらにより、MIPEPがミトコンドリアタンパク質の成熟を介して、包括的にミトコンドリア機能を制御し、CRの抗老化・寿命延伸効果に寄与するか否かを明らかとする。当該年度では、上記のうち主に細胞におけるMIPEPの機能解析を行った。具体的には、MIPEPノックダウンおよび過剰発現細胞におけるミトコンドリア機能と酸化ストレスの程度を評価した。さらに電子顕微鏡によるミトコンドリア形態の観察にも着手した。上記の背景および経過について、国内雑誌および国際論文に総説として報告した。また、国際シンポジウムを含むいくつかの学会でも発表を行うことで、研究実績を広く社会に発信した。
3: やや遅れている
「研究実績の概要」で述べたとおり、脂肪細胞株のミトコンドリア機能と酸化ストレスの程度の解析については概ね順調に進んでいると見なせる。一方で動物レベルの解析については、脂肪組織特異的MIPEPノックアウトマウスの作製は完了し、現在群数を増やしている段階であるが、具体的な解析には至っていない。また、プロテオーム解析によるMIPEPの基質探索については、MIPEPノックアウト細胞が得られていないため、着手できていない。そのため、当該年度の研究計画の進捗はやや遅れていると判断した。
「現在までの進捗状況」でも述べたとおり、脂肪組織特異的MIPEPノックアウトマウスについては、すでに作製済で群数を増やしている段階なので、2019年度はその解析を優先的に進める予定である。プロテオーム解析については、当初ではMIPEPノックアウト細胞を用いて行う予定であったが、樹立が難航しているため、その代替としてすでに作製済のMIPEPノックダウン細胞による解析を検討していく。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件)
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