研究実績の概要 |
令和元年度の研究では、アトピー性皮膚炎(AD)患者を対象として、日常生活における身体活動量が皮膚バリア機能およびAD病態関連因子に及ぼす影響について検討を行った。対象者はAD患者28名(平均年齢:31.4±8.7歳, 男性7名, 女性21名)とした。AD病態関連因子として血中のthymus and actication-regulated chemokine(TARC)、好酸球数、IgE、自己回答式の病態調査としてPatient-Oriented Severity Scoring of Atopic Dermatitis(PO-SCORAD)、皮膚バリア機能として角質水分量、経皮水分蒸散量(transepidermal water loss; TEWL)、皮膚pHを測定した。身体活動量は、生活習慣記録機ライフコーダGS(スズケン)を2週間着用して測定した。その結果、角質水分量とIgE(r = -0.390, p < 0.05)、TEWLとPO-SCORAD(r = 0.431, p < 0.05)、IgE(r = 0.374, p < 0.05)、TARC(r = 0.502, p < 0.01)、PO-SCORADとIgE(r = 0.488, p < 0.01)、TARC(r = 0.377, p < 0.05)、IgEとTARC(r = 0.691, p < 0.01)、好酸球数(r = 0.518, p < 0.01)、TARCと好酸球数(r = 0.426, p < 0.05)は有意な相関関係を示した。AD病態関連因子は、それぞれ相関関係にあることが先行研究と同様に確認された。一方で、総消費量とpH(r = 0.537, p < 0.01)、IgE(r = 0.614, p < 0.01)、TARC(r = 0.674, p < 0.01)、運動量とPO-SCORAD(r = 0.373, p = 0.055)、IgE(r = 0.605, p < 0.01)、TARC(r = 0.507, p < 0.01)が正の相関関係を示した。また、PO-SCORADは強度7の身体活動量と有意な正の相関関係を示した(r = 0.521, p < 0.01)。以上の結果から、AD患者においては、身体活動量が高いほどAD病態関連因子が高く、特に高強度の身体活動量は重症度と関連することが推察された。従って、令和2年度に実施予定の継続的な運動介入においては、運動強度に注意して研究計画を再考しながら研究を行っていく予定である。
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