本研究は、妊娠中の身体活動・不活動と妊産婦特有の健康アウトカムとの関連を検討するためのコホート研究を行った。本年度は昨年度から継続し、コホート研究の参加者数を増やし、妊娠前および妊娠中の身体活動の実施状況を検討した。 身体活動はGPAQを用いて評価した。GPAQの回答から、強度(高強度:VPA、中程度:MPA、中高強度:MVPA)及び場面(仕事、移動、余暇、全場面)を組み合わせた各場面・強度の身体活動の実施有無と実施時間を算出した。またWHOの身体活動ガイドラインを参考に、全場面MPA週150分の実施状況を確認した。 解析対象者は、医師からの運動制限がなく、GPAQの回答に欠損がない322人であった。統計解析では、妊娠前及び妊娠中の身体活動状況の集計を行った。また妊娠中に身体活動が多い者の妊娠前の身体活動状況の特徴を検討するために、妊娠中MPA150分以上・未満の2群に分け、妊娠前の身体活動状況を集計した。 解析対象者全体において、MPA週150分以上を行っている割合は、妊娠前(43.3%)より妊娠中(28.2%)で低値を示した。場面に着目すると、妊娠前から妊娠中の変化は仕事MPA(妊娠前:41.4%、妊娠中:30.1%)、余暇MPA(妊娠前:29.8%、妊娠中:17.8%)で顕著であった。一方、移動MPAの実施者の割合はほぼ横ばいであった(妊娠前:34.7%、妊娠中:32.2%)。 妊娠中MPA週150分の実施状況別にみた妊娠前の身体活動では、各場面における身体活動実施者割合に着目すると、妊娠中MPA週150分以上群では、妊娠中MPA週150分未満群と比較して、妊娠前の仕事MPA(妊娠中MPA150分以上:75.0%、妊娠中MPA150分未満:28.2%)と妊娠前の移動MPA(妊娠中MPA150分以上:60.9%、妊娠中MPA150分未満:24.4%)の実施者割合が多かった。
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