本研究の最終目標は、24時間のエネルギー代謝と生体リズムの評価から、生活習慣病リスク低減に有効な脂肪摂取のエビデンスを確立することである。研究課題番号17K13234では、 1)飽和または不飽和脂肪酸に富む食事摂取が、深部体温および脳波の周期的変動に与える影響 2)飽和または不飽和脂肪酸に富む食事の摂取が、末梢組織の時計遺伝時発現に与える影響 3)エネルギー代謝と生体リズムに影響を与える脂肪酸はその他にあるのか? 上記3つについて明らかにすることを目的とする。令和元年度は、主に目的3)のための実験に取り組んだ。目的1)、2)で使用した2種の試験食「高飽和脂肪酸食、高不飽和脂肪酸食」の他に、新たに2種の試験食「高一価不飽和脂肪酸食:一価不飽和脂肪酸80%/total fat、高多価不飽和(オメガ3系)脂肪酸食:オメガ3系脂肪酸9%/total fat」を開発した。それらの試験食を用いて、令和2年度にはエネルギー代謝と生体リズムへの影響について予備的な検討を行った。①被験者4名に高飽和脂肪酸食、または高一価不飽和脂肪酸食を摂取させ、24時間の間に複数回の採尿、採血、および心拍数変動と睡眠状態の評価を行なった。得られたサンプルや測定データは現在解析中である。②被験者2名に高飽和脂肪酸食、または高多価不飽和(オメガ3系)脂肪酸食を摂取させ、24時間の間で複数回の採尿、採血、および心拍数変動と睡眠状態の評価を行なった。得られたサンプルや測定データは現在解析中である。 目的3)を達成するための試験食の開発は完了し、予備試験も開始できている。今後は被験者数を増やし、本申請の結果をまとめ、目標とする「生活習慣病リスク低減に有効な脂肪摂取のエビデンスを確立する」ための知見として公開する準備を進める。
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