研究課題
肥満者のみならず、非肥満者においても脂質異常症の一つである高LDLコレステロール血症は蔓延しており、その原因として遺伝要因の強い関与が示唆される。しかし、遺伝リスクが高い非肥満者における高LDLコレステロール血症の予防改善に有効な介入法は明らかにされていない。本年度は、BMIが低い者において遺伝的な血中LDLコレステロール濃度上昇のリスクを抑制する要因を明らかにするため、昨年度構築したLDLコレステロールの遺伝的リスクスコア(LDL-genetic risk score[LDL-GRS])と血中LDLコレステロール濃度との関連が、栄養摂取状況や全身持久力により修飾されるかどうかを検討した。中高齢者男女933名を対象とした横断研究を行った。日本人において血中LDLコレステロール濃度と強く関連することが報告されている6つのSNPを選択し、各SNPのeffect sizeで重み付けしたリスクアレルの保有数を合計してLDL-GRSを求めた。全身持久力は最大酸素摂取量の測定により評価し、栄養摂取状況は簡易型自記式食事歴法質問票により調査した。解析の結果、LDL-GRSと全身持久力との間に有意な交互作用が認められ、全身持久力が低い者においてはLDL-GRSと血中LDLコレステロール濃度との間に有意な関連が認められたが、全身持久力が高い者においてはこれらの関連は認められなかった。また、LDL-GRSと動物性脂肪の摂取量との間に有意な交互作用が認められ、動物性脂肪の摂取量が低い者においてはLDL-GRSと血中LDLコレステロール濃度との間に有意な関連は認められなかった。BMIの高低はこれらの関連を修飾しなかった。以上の結果より、BMIの高低に関わらず、全身持久力を高く保つことや動物性脂肪の摂取を控えることにより、遺伝的な血中LDLコレステロール濃度上昇のリスクは抑制される可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件)
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