追跡調査については、2020年度前半は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため調査の中断を強いられることになった。2020年度後半には研究機関における研究実施の指針に従い再開することができたが、調査対象者や調査協力スタッフの安全を考慮し簡易なデータの取得にとどまった。 これまでに取得した2年間の追跡データを用い、平日と休日の睡眠時間のズレが幼児の身長及び体重の発育に及ぼす影響について、目的変数に身長、体重、Body mass index(BMI)を、説明変数として睡眠時間のズレ(20分以上、20分未満)と調査参加回数を主効果とし、これらの交互作用項を投入した線形混合モデルにて検討した。その結果、身長及びBMIの増加と睡眠時間のズレとの間では関連を認めなかったものの、体重の増加と睡眠時間のズレとの間に有意な関連が認められた(p<0.05)。調査回数に対する体重増加の傾きはズレが中央値の20分以上の場合は2.7±0.2、20分未満の場合は3.2±0.2となり、両者の傾きの間に差を認めた(p<0.05)。この背景要因を探索するため、ベースライン時におけるデータを用い、目的変数はすっきり目覚める頻度(5日以上、4日以下)とし、説明変数に睡眠時間のズレ、調整変数に性及び月齢を投入したロジスティック回帰分析を行い、睡眠時間のズレと目覚めの状態との関連性を検討した。その結果、ズレ20分以上群に対して、ズレ20分未満群が5日以上すっきり目覚めるに該当するオッズ比は3.51(95%信頼区間:1.05-11.80)であった。これらにより、幼児における平日と休日の睡眠時間のズレとそれに関連したと思われる睡眠の質が体重の増加に影響を及ぼしている可能性が考えられた。
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