研究課題/領域番号 |
17K13251
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
川田 裕樹 國學院大學, 人間開発学部, 准教授 (10553711)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小児肥満 / 親子 / 生活習慣 / 身体活動 / 歩数 / 栄養 / セルフモニタリング / 協調行動 |
研究実績の概要 |
子どもは生活習慣を自分一人で決められないため、肥満小児の生活習慣改善を試みる際には保護者をも含めた支援・介入が必要であるが、その方法は確立されていない。そこで本研究では保護者への支援方法に着目し、肥満小児の生活習慣改善に有効なプログラムの開発を目指すこととした。 肥満小児と保護者双方への有効な支援法を検討するため、1)肥満小児および保護者の双方への生活習慣改善支援プログラムが両者の身体活動量、食・運動習慣、意識・行動、心理状態、血液生化学値などに及ぼす影響を多角的に検討する。2)どのような保護者のサポートが肥満小児の生活習慣改善・肥満進展予防に有効かを、プログラムにおける親子の協調行動の実態から明らかにする。ということを目指して研究を行っている。 現在、本研究への参加を希望した肥満小児および保護者に対し、研究協力者である東京慈恵会医科大学小児科の研究グループ(医師・臨床心理士)と共同で、支援プログラムを進めている。プログラムでは、①対象児および保護者の双方とも、加速度センサー内蔵歩数計を起床後から就寝まで腰部に毎日装着する。②対象児はセルフモニタリングシートに、気を付けるべき生活習慣(目標行動)や歩数、体重を、保護者は子どもの生活習慣支援のための行動および、保護者自身が気を付けるべき生活習慣、歩数を、毎日記録する。③肥満小児が一人で、もしくは保護者やきょうだいと一緒に取り組むことができる「ダンスエクササイズ」のDVDを配布し、身体活動量の少ない日にできるだけ実施するよう促す。④セルフモニタリングシートと加速度計を1か月ごとに回収し、担当医から肥満小児と保護者に結果の返却およびアドバイスをおこなう。といったことを進めながらデータを収集している段階である。また、円滑に研究を遂行するため、研究協力者とは定期的に会議を開催し、進捗状況の確認や今後の進め方の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東京慈恵会医科大学小児科の研究グループとの当初の想定よりも、本研究への参加希望者が少ないといった問題が起こっている。そのため、病院内にてプログラムへの参加者募集(小児肥満への早期の対策の重要性のアピールを含む)に関するポスターの掲示を行うとともに、地域の学校関係者(養護教諭等)との学習会を開催して、支援プログラムに関する周知活動を進めることで、本プログラムへの参加希望者(被検者)を増やすよう努めている。
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今後の研究の推進方策 |
本プログラムへの参加者をどのようにして募り、被検者数を増やすかが、得られたデータの解析および支援プログラムの開発には重要になるため、そのための広報活動が今年度のキーポイントになると考えている。そのため、今年度はさらに東京慈恵会医科大学小児科の研究グループとの連携を強化し、地域の肥満小児の保護者はもちろんのこと、教育委員会や校長・養護教諭を通じての家庭への周知などを重視する予定である。具体的には、小児の生活習慣改善・肥満進展予防のための勉強会・講演会や、肥満小児と保護者を対象とした健康教室(運動に関する実技を含むもの)、ホームページを活用した広報活動などを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回購入した加速度センサー内蔵歩数計が、当初の想定よりも見積もり額が安かったこと、また、現在使用しているレーザープリンターが故障したために、今年度の購入予定として計上していたトナー代を使用しなかったことから、実際に使用した物品費が当初の予定よりも少なくなった。また、栄養調査結果(BDHQ)の解析費として人件費にその予定額を計上していたものの、被検者が当初の予定よりも少なかったため使用できなかった。以上の理由より、次年度使用額が生じた。 今年度は、資料印刷のためのプリンター、運動強度把握のための心拍計(Polar M430)、心理検査用紙を購入するとともに、情報収集のための学会出張および栄養調査結果の解析に科学研究費を使用する予定である。
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