研究実績の概要 |
本研究は乳児期になされる父親・母親との身体接触遊び(特にくすぐり遊び)の発達の様相を,視線・音声・三次元動作解析及び行動観察から包括的に明らかにしようとする試みである。メガネ型アイトラッカーと小型モーションキャプチャを用いて生後1.5 ケ月時からデータを収集し,①身体接触遊びにおいていかなる相互作用がなされ,発達するのか②父親・母親の関わりの性差・共通性③遊びの成立の成否にはどのようなファクターが関わるのかをマルチモダリティの観点から明らかにする。また親子の情動性を帯びた身体接触遊びの中で,④乳児による予期や意図の読み取りと親によるその足場作りがどの時点からなされ始めるのかに着目し,他者の意図理解に至るまでの発達プロセスについて検討する。 一年目である本年度は,①観察場面の構造の吟味・確定を行い,②研究協力者のリクルートを開始する予定であった。①については,一組の親子を対象として予備観察を縦断的に行い,予定通り,場面の構造の吟味・確定を行った。さらに,遊びの成立の成否にはどのようなファクターが関わるのかについて検討するため,父母双方を対象とした,どの程度うまく遊べたか(身体接触遊びの成立の成否)の主観的判断を測る質問紙を作成・吟味した。②の研究協力者のリクルートは,生後1.5ケ月時点からと観察開始時期が早く,また1.5, 3, 5, 7ケ月時点と4回の継続的な協力が必要と負担が比較的大きいためか,当初の想定よりもやや難航している。そのため,研究目的を達成しうる範囲内で,必要に応じて対象者の枠を緩めて(例えば生後3ケ月からの参加でも対象者に含めるなどして),対応しつつある。現在のところ,3組の親子を対象として6回の観察を終えている状況である。
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