研究課題/領域番号 |
17K13252
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
石島 このみ 白梅学園大学, 子ども学部, 講師 (70735117)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乳児 / 遊び / 身体接触 / 社会性の発達 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,乳児期の1.5ヶ月,3ヶ月,5ヶ月,7ヶ月の4時点における父親・母親との身体接触遊び(特にくすぐり遊び)の発達の様相を,視線・音声・三次元動作解析及び行動観察から包括的に明らかにすることである。ビデオカメラ,メガネ型アイトラッカーと小型モーションキャプチャを用いてデータ収集を行った。それらの行動データの収集に加え,どの程度うまく遊べたか(身体接触遊びの成立の成否)の主観的判断やくすぐり遊びについてのイメージを測る質問紙と,産後うつに関する質問紙によるデータ収集も行った。 本年度は,新型コロナウィルス感染症流行の影響によりデータ収集を中断し,既に収集したデータについて中間的分析を中心的に行った。特に乳児とのくすぐり遊びにおいて母親は子どもの行動をいかにして捉え,どのような感情を持ち,それは発達的にいかに変化するのかについて,質問紙及びアイトラッカーによって収集されたデータに着目して検討した。その結果,くすぐり遊びをする際の子どもの行動のうち,「くすぐったがる」「うれしそうにする」「楽しそうにする」「親の顔や髪,衣服をいじる」などの平均得点において有意な発達的変化が見られ,いずれも後期において得点が高かった。一方で,子どもとくすぐり遊びをする時の母親の感情(「うれしい」「楽しい」「疲れる」等)については有意な発達的変化は認められなかった。このことから,母親は発達的に一貫した感情を持ちながらも,子どもの行動変化を敏感に捉えながらくすぐり遊びに参与していることが示唆された。さらにくすぐり遊びにおける乳児による母親の顔への注視時間に着目して分析を行ったところ,注視時間は発達的に異なっていた。これには乳児の反応(行動)の発達的変化と関連している可能性がある。これらの結果について,国内の学会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では,乳児とその母親を対象として,研究者が研究協力者の家庭に継続して訪問し,観察及びデータ収集を行っている。本年度においても研究協力者のリクルート及びデータ収集を行う予定であったが,そうしたデータ収集の方法の性質上,新型コロナウィルス感染症流行の状況下では,研究協力者のさらなるリクルート及びデータ収集が難航した。以上の理由から,遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において,既に収集したデータの中間的分析を行い,分析の方向性についての確認・検討を行った。現在,感染予防対策を十分に行った上でさらなる研究協力者のリクルート及びデータ収集を再開しており,今後も継続する予定である。それらのデータを加え,最終段階としての分析を行い,得られた知見を国内外の学会にて報告するとともに,学術論文としてまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行により,特にデータ収集が困難となって計画とのずれが発生し,残額が生じた。未使用分は主に旅費や人件費・謝金費として使用する予定である。
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