研究課題
がんは様々な遺伝子変異の蓄積によって解糖系を亢進するなどエネルギー代謝経路を変化させて生存・増殖を有利にすることから,エネルギー代謝を阻害する化合物は,がん特有の代謝経路を利用した抗がん剤の候補として期待される.これまでの,エネルギー代謝阻害化合物の探索研究から,クエン酸回路のフマル酸水和酵素を阻害するピロリジノンを見出している.また,解糖系を阻害する化合物の探索により新規マクロライドを見出している.しかしながら,これらの化合物の作用機序および新規マクロライドの構造は解明できていない.本研究では新規マクロライドの構造を解明,ピロリジノンの作用機序解明を目的として研究を行った.新規マクロライドの平面構造は各種スペクトル測定より決定した.本マクロライドが有する,6員環環状部分の相対配置はJ値及びNOESY相関により決定した.直鎖部分の相対配置はユニバーサルNMRデータベース法及びJ基準立体配置解析法を用いて決定した.3結合離れたプロトン間のJ値は,1H-NMR,DQF-COSY及びE-COSYスペクトルの詳細な解析により決定した.部分分解物をMTPAエステルへと誘導し,改良Mosher法を用いて絶対立体配置の一部を決定した.すべての絶対立体化学を決定すべく,現在deplelideの誘導化・部分分解の方法を検討している.ケミカルプロテオミクス解析によりピロリジノンの結合部位を決定すべく,ピロリジノンにアルキンタグ及び光反応性官能基を導入したプローブを合成した.本プローブは十分な活性を保持していた.現在,本プローブをA549細胞に作用させ結合部位の同定を試みている.
2: おおむね順調に進展している
Deplelide A及びBの平面構造を決定し,相対・絶対立体配置の一部を決定している.活性を有するピロリジノンの分子プローブを得ている.
研究計画に従い,deplelide A及びBの構造を決定する.ピロリジノンの分子プローブを用いて結合部位の解析を進める.
本年度から行っているdeplelideの構造解析を次年度も継続して行うことにした.解析に必要な試薬類の物品費を次年度も使用する必要性が生じたため.本年度から行っているピロリジノンの結合部位解析を次年度も継続して行うことにした.解析に必要な試薬類の物品費を次年度も使用する必要性が生じたため.
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Organic Chemistry
巻: 83 ページ: 5851-5858
10.1021/acs.joc.8b00743
Organic Letters
巻: 19 ページ: 4207-7210
10.1021/acs.orglett.7b01807
http://www.bikaken.or.jp/