研究実績の概要 |
3糖ピロリン脂質(mini-MPIase-3)およびその類縁体の合成と活性をまとめ、ACS Chem. Biol. に発表(2018年7/31)した。また、MPIaseの発見、構造決定、MPIase類縁体の合成、構造活性相関など最近のMPIase研究の進展をTrends in Glycoscience and Glycotechnology (TIGG)に総説として発表(2019年2/1)した。 糖鎖伸長や標識(蛍光、スピン)化に対応した新戦略の最適化を行い、従来より効率よく三糖を得られるようになった。得られた3糖を用いて、基質タンパク質モデル(Pf3ファージコートタンパク)との相互作用解析のためのスピン標識3糖リン酸体(SL-Trisac-P)や膜上でのMPIaseの挙動観察のための蛍光標識3糖ピロリン脂質(FL-mini-MPIase-3)を合成した。FL-mini-MPIase-3では、4種類のリンカー(PEG4, PEG8, PEG12, C6アルキル)と2種類の蛍光官能基(Cy-7, CyLyte-7)を検討した。アルキルリンカー導入までは活性を保持していたが、蛍光官能基を導入する事で、活性が無くなる事が分かった。活性を持ったmini-MPIase-3に少量のFL-mini-MPIase-3を混ぜた場合に活性が出るかどうか確認中である。 また、6糖ピロリン脂質(mini-MPIase-6)の合成を目指して、3糖+3糖=6糖の合成を行い、6糖骨格の生成を確認した。3糖アクセプターの反応性が低く、3糖ドナーが加水分解されたヘミアセタール体が副生し、低収率に留まった。現在、収率の改善を検討している。
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