研究課題/領域番号 |
17K13263
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森田 昌樹 九州大学, 薬学研究院, 特任助教 (40732954)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有機合成 / ステロイド / 酸化ステロイド / Click反応 / NF-kB阻害剤 |
研究実績の概要 |
本研究では,植物の産生する酸化ステロイド化合物にヒントを得た,新奇生物活性化合物の創出を目指している.ステロイド構造のCD環部が酸化・骨格変換を受けた構造ユニットの生物学的重要性を検証するため,本年度は,以下述べる3つの合成上の課題に取り組み,数種の設計した化合物の合成に成功した.以下詳細を述べる. これまでに開発した酸化ステロイド化合物誘導体は,D環部が高度に酸化され,また骨格変換を受けた構造を有している.この誘導体のNF-kB阻害作用において,コア構造に加えて,疎水性官能基が重要であることを見出している.今回,炭素鎖や立体化学の異なる疎水基を導入した数種の化合物を設計し,その合成に取り組んだ. 1. 疎水性官能基の導入法の確立: まず疎水性官能基導入法の確立を目指した.これまでに確立した合成法に従い,光学活性な合成前駆体を数百mg程度調製した.前駆体疎水基の導入にはClick反応を用いた.これまでの予備的な検討から,Click反応の再現性が乏しく,収率の改善が必要であった.各種反応条件を最適化し,再現性よく所望の疎水性官能基を導入する手法を確立することができた. 2. 骨格変換反応の最適化: さらに,骨格変換反応の最適化にも取り組み,これまで13%にとどまっていた収率を50%程度まで改善することができた.その後,数工程を経て,設計した光学活性な誘導体を数種類合成することに成功した.現在合成した化合物のNF-kB阻害試験を検討中である. 3. C環部構築法の確立: 上記計画の中で利用した光学活性な合成前駆体を利用し,C環部を有するさらに複雑な誘導体を合成する手法を確立した.現在論文を投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応条件の最適化が必要であったものの,設計した酸化ステロイド誘導体を光学活性体として数種類合成することができたことから,一定の進捗があったと考えている.また,最近C環を有する酸化ステロイド誘導体の合成法を見出すことにも成功している.水酸基導入反応の検討にも着手しており,今後積極的に検討していく.
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今後の研究の推進方策 |
合成した酸化ステロイド誘導体のNF-kB阻害作用を評価し,導入した疎水性官能基の効果を検証し,最適な疎水性官能基を見出したい.また,最近見出した合成法を用いて,C環部を有する酸化ステロイド誘導体の合成を完了し,上記化合物と併せて活性評価したい.引き続き,水酸基導入反応を検討し,多様な酸化ステロイド誘導体を複数合成する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末出張の経路を一部変更したため.
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