研究課題
本研究の目的は、申請者らが開発した新規リガンド開発のための方法論を用いて、内在性リガンドを模倣する新規共有結合性PPARγアゴニストを創製し、その作用機序を明らかにすることである。平成30年度は、前年度同定した、不可逆的PPARγリガンドに対するパートナーリガンドの構造活性相関の考察、推定結合様式の解明、ハイブリッド化合物の設計、および合成を行った。前年度のスクリーニングにより得られた20種類のパートナーリガンドは、いずれも異なる骨格を有するものであり、多様な構造の化合物が不可逆的リガンドと協調的な活性化を引き起こすことが明らかになった。そのうち最も活性が高く、合成が容易な化合物1点に着目し、ドッキングシミュレーションを用いた結合様式の解析を行った。その結果、予想通り、PPARγLBDのH3、β-sheet、omega-loopから構成される領域に結合する可能性が高いことが明らかになった。本推定結合様式における、不可逆的リガンドの結合部位とヒット化合物の推定結合部位を元に、両者の化学構造をリンカー構造で接続した融合化合物の化学構造を設計し、合計10段階からなる合成ルートを立案した。立案したルートに基づき、現在合成を進めている。
2: おおむね順調に進展している
本研究では、パートナーリガンドの同定、ハイブリッド化合物の設計および合成、合成化合物を用いた生物活性評価と作用機構解明を3年間で行うことを計画している。2年目に、パートナーリガンドの推定結合様式の解析およびハイブリッドリガンドの設計、合成まで進めることができたため、概ね順調に進展していると判断した。
ハイブリッドリガンドの合成を進め、活性評価、および下流遺伝子の網羅的解析など作用機構の解明を行う。
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