研究課題/領域番号 |
17K13269
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮房 孝光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70760271)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | バイオテクノロジー / 細胞膜透過ペプチド / split intein / 蛋白質工学 |
研究実績の概要 |
本研究は、細胞膜透過ペプチド(CPP)の効率的な選抜技術の開発を目的として、タンパク質とCPPの連結体を簡便・並列に調製する手法の開発と、多様性の担保された代表的なCPP配列の選抜、培養細胞を用いた実証実験を行う。平成29年度は、以下の3項目を実施した。 (1)タンパク質とCPPの連結体の調製法の開発においては、Thermoplasma volcaniumを由来とするVMA intein、およびそのC末改変体(N-intein)を設計し、大腸菌を宿主とする発現系を構築した。また、細胞内に導入する目的タンパク質として緑色蛍光タンパク質の点変異体を採用し、それらの大腸菌発現用ベクターの作製し、発現・精製系を構築した。その後、N-inteinのN末に緑色蛍光タンパク質点変異体を融合した発現ベクターを調製し、融合タンパク質の発現系を構築した。 (2)多様性の担保された代表的なCPP配列の選抜においては、CPPsite2.0に登録されている配列のうち、非天然アミノ酸等を含むものを除いた配列セットを対象に、複数の物理化学的パラメータをもとに主成分分析を実施し、クラスター分けした。 (3)培養細胞を用いた実証実験においては、4種類の細胞株(HEK293、CHO-K1、HCT116、Jurkat)の培養系を整備した。また、予備検討として、緑色蛍光タンパク質を市販のタンパク質導入試薬を用いて、CHO-K1に導入する実験を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度に予定していた実験のうち、intein-目的タンパク質の発現系構築に遅滞が生じたために、タンパク質とCPPの連結体を試験管内で合成する段階が未完了である。一方で、CPP配列の選抜、培養細胞を用いた実証実験の実施環境整備に関しては、当初の予定通りに進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究実施計画のうちの未達部分に関しては繰り延べるものの、全期としては当初計画の完遂を目指す。具体的には、物理化学的パラメータを基準に選抜した代表的なCPP配列群に対して、目的タンパク質との融合体をsplit inteinを利用して調製し、それらの培養細胞に対する細胞膜透過性を並列的に評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既存設備を利用することで、予定していた細胞培養用の実験設備の購入を見送ったため、物品費に未使用分が生じた。平成30年度の物品費(主に合成ペプチドの購入)としての使用を予定している。
|