研究課題
2018年度は前年度に引き続き、光依存的カルシニューリン操作方法の開発のため、光依存的ドメインをカルシニューリン酵素に組み込んだDNAコンストラクションを用いて、酵素活性評価系を用いておよび評価を行った。評価系として、分光的酵素活性の読出しを利用するとともに、NFATの核移行を応用し、顕微鏡観察もしくは細胞分画と蛍光プレートリーターによる測定を組み合わせた系についても検討を進めた。また、カルシニューリンの動態を明らかにするために、光照射によって緑色蛍光を発するようになる単量体光活性型緑色蛍光タンパク質(mPA-GFP)と融合させた、mPA-GFP-カルシニューリンを作成した。分散培養神経細胞にmPA-GFP-カルシニューリンを発現させ、シナプスに光照射を行い、カルシニューリンの動態を計測した。また、カルシニューリンと生化学的・神経機能的には逆方向の作用を持つと考えられているリン酸化酵素・CaMKIIと比較を行い、動態の違いを明らかにした。この結果を酵素活性化のパターンと対比させるために、多重化FRETによるカルシニューリンとCaMKIIの活性化の比較を行った。多重化FRETイメージングを樹状突起やシナプスでのS/N比を向上させるために、蛍光輝度および漏れ込みが改善した新たな蛍光タンパク質を利用した新たなプローブを開発した。ライブ観察用のビデオ光学顕微鏡の光学系の光学素子の最適化や調整を行い、検出感度を向上させた光刺激可能な多重FRET観察系を構築した。この観察系を用いて、単一のシナプスに対して光刺激を行い、シナプス可塑性を誘導させ、神経細胞樹状突起およびシナプス部におけるカルシニューリン活性の時空間的なパターンを明らかにした。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Neuroscience
巻: 38 ページ: 5551-5566
10.1523/JNEUROSCI.2357-17.2018