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2017 年度 実施状況報告書

サルDREADDシステムを利用したギャンブラーの誤謬を生み出す神経回路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K13275
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

藤本 淳  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 博士研究員(任常) (20756390)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードギャンブル依存症 / DREADD / サル / 大脳基底核
研究実績の概要

サルを用いた実験に先立ち実施した、ギャンブル依存症患者を対象とした機能的MRI実験について論文発表を行った(Fujimoto et al., Transl Psych., 2017)。同研究では、ギャンブル依存症患者で課題中の前頭前野背外側部の活動低下を見出したことから、ギャンブル依存症では脳活動の変容により柔軟な意思決定が障害されていることが示唆された。同成果については、プレスリリースを行い、国内外において大きな反響を得た。

本研究計画の実施のためには、経路選択的操作法の確立が必須である。そのため、まず先行研究(Nagai et al., 2016)で用いた両側rmCDに抑制性DREADD(hM4Di)を発現したサルを利用し、経路選択的操作実験のテストを行った。報酬量課題遂行中のサルrmCD→VP経路を選択的・可逆的に機能遮断するため両側VPにDREADDアゴニストであるCNOを注入したところ、予想に反し、課題遂行への影響は確認されなかった。

並行して同課題遂行中のサルrmCDおよびVPから単一ユニット記録実験を行ったところ、これまでの定説とは異なり、VPはrmCDからのトップダウン信号とは独立に報酬価値情報を表現することが示唆された。これはrmCD→VP経路操作の課題への影響が小さいことを示唆するものであったことから、上記の経路操作が効果を見せなかったことを説明可能である。またこれらの電気生理実験の結果について、現在論文を準備中である(Fujimoto et al., in prep)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ギャンブル依存症のメカニズムに関連した論文発表を行うことが出来た。また、サルDREADDシステムを用いた実験を開始し、予備的なデータを得られた。これらの理由から、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

ギャンブル依存症と関連するリスク下意思決定には、報酬予測誤差をコードするとされるドーパミン神経細胞の活動が不可欠である。まず、サル2頭を用い、確率的報酬を用いた改変版報酬量課題のトレーニングを行う。次に、それらのサルで腹側被蓋野(VTA)ドーパミン細胞に抑制性hM4Diを導入し、ドーパミン操作とリスク下意思決定の関連を調べる。また、これらのサルを用い、経路選択的操作法の確立を目指す。

次年度使用額が生じた理由

学会参加費を当初予定より節約することができた。来年度の消耗品購入に充当する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Deficit of state-dependent risk attitude modulation in gambling disorder2017

    • 著者名/発表者名
      A Fujimoto, K Tsurumi, R Kawada, T Murao, H Takeuchi, T Murai & H Takahashi
    • 雑誌名

      Translational Psychiatry

      巻: 7 ページ: e1085

    • DOI

      10.1038/tp.2017.55

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Encoding expected reward value for formulating goal-directed decision in the rostromedical caudate and the ventral pallidum2017

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Fujimoto, Yukiko Hori, Yuji Nagai, Erika Kikuchi, Kevin W McCairn, Toshiyuki Hirabayashi, Masahiko Takada, Tetsuya Suhara, Takafumi MinamimotoAtsushi Fujimoto, Yukiko Hori, Yuji Nagai, Erika Kikuchi, Kevin W McCairn, Toshiyuki Hirabayashi, Masahiko Takada, Tetsuya Suhara, Takafumi Minamimoto
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 2017 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] ゴール指向型行動に関わるサル吻内側尾状核および腹側淡蒼球における報酬価値表現2017

    • 著者名/発表者名
      藤本 淳、堀 由紀子、永井 裕司、菊池 瑛理佳、ケビン マッケイン、平林 敏行、高田 昌彦、須原 哲也、南本 敬史
    • 学会等名
      第40回日本神経科学大会

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公開日: 2018-12-17  

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