研究課題/領域番号 |
17K13280
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 美保子 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 特任助教 (70612018)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ロシア外交 / 東方シフト / 中ロ関係 / インド / ベトナム / 北朝鮮 / 日米同盟 / 地域秩序 |
研究実績の概要 |
課題①「ロシアによるクリミア編入は主権国家体系への挑戦といえるのか」については、2019年5月18日に北海道で開催された国際ワークショップ「Populism in Context」(企画者:Paul Richardson, University of Birmingham)のセッション1「Borders, Sovereignty and Separatism in Populist Politics」で討論者を務め、ポピュリズム、ナショナリズム、リベラリズムなどの文脈において民族自決、分離主義、併合の概念がどのように用いられているのかについて議論し、クリミア問題についての理解を深めた。 また、課題②「ロシアと欧米の対立はロシアのアジア・太平洋政策にどのような影響を及ぼすのか」については、アメリカ主導の地域安保秩序の基軸である日米同盟に対するロシアの認識の変化(日本国際政治学会分科会報告、10月)、朝鮮半島におけるロシアの外交政策と位置付け(韓国・中央大学校での4月と1月の2回の報告と意見交換)、ロシアの中国シフト政策の再検討とインド、ベトナムとの関係多角化(ロシア・東欧学会での共通論題報告、11月)について学会・研究会報告と国内外の研究者との意見交換を行った。11月には、モスクワのアメリカ・カナダ研究所、極東研究所、モスクワ国際関係大学)で夫々、中ロ関係、対日関係、アジア地域秩序に関する専門家へのインタビュー調査を実施した。 研究成果の出版状況は、2017年度に行った中ロ関係についての口頭報告の英文ペーパーを修正し、韓国中央大学校中央史學研究所の紀要(査読有)に投稿・掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題①については、研究計画では公募型の国際学会での成果報告を想定していたが、同じテーマに関心のあるイギリスの研究者らが企画するワークショップが開催されたため、そこでクリミア問題を「民族自決」の概念が使われた他の様々な事例(ケベック、コソボ等)と比較・検討した。結果的に英語論文の完成に向けて当該テーマの理解を深めることができた。 課題②については、すでに決まっていた学会や研究会の日程や授業等の都合でロシア極東地域でのフィールドワークは実現しなかったが、韓国・ソウルでの2回の報告・意見交換とモスクワでの調査では有意義な情報収集ができ、ISA Asia Pacific Conferenceを含め、国内外で予定より多くの学会報告を実施することができた。内容的には、ロシアのアジア政策における多角化の方向性が日本・韓国との経済協力拡大から、インド、ベトナムなどとの戦略的関係の強化にシフトし維持されている現状についての報告に力を入れた。 研究計画では3年目は出版助成に応募する予定であったがその点では成果報告書の企画、執筆に若干遅れが見られる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の全体目標は、課題①と②を総括する研究報告書(和文)の執筆作業を進めることである。形態は未定であるが、単著としての出版を想定している。 課題①に関しては個別の英語論文の執筆作業を進める。 最終年度は、これまでのフィールドワークの成果を国際学会で報告する予定であったが、新型肺炎の影響で国内外の出張の予定が立てられないため、オンライン会議での報告を予定している。
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