研究課題/領域番号 |
17K13284
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀江 未央 名古屋大学, 高等研究院(文), 特任助教 (80773522)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 婚姻移動 / 雲南省 / ミャンマー / 人口流動 / 現代中国 |
研究実績の概要 |
本年度は、出産に伴う産育休のため、当初の予定であるフィールドワークではなく文献研究を中心として研究活動を行った。地域間経済格差に基づいて起こる、女性の結婚に伴う移動の連鎖に関して、中国のみならずアジアの研究動向をまとめたレビュー論文「女性の越境移動研究の展開:アジアにおける婚姻移動を中心に」(社会人類学年報43号、2017年)を投稿した。また、現代中国における女性の婚姻移動の連鎖について、女性の送り出し社会の末端に位置するラフ族地域に起こる社会変化と、女性の嫁ぎ先である安徽省や河南省とのあいだに築かれつつあるネットワーク、そのあいだを揺れ動くラフ女性たちの葛藤や逡巡を論じた単著『娘たちのいない村-ヨメ不足の連鎖をめぐる雲南ラフの民族誌』(京都大学学術出版会、2008年)を執筆・出版した。 さらに、近年中国国内で起こる様々な人口移動現象と女性の婚姻に伴う移動との関わりや異同を考えるために、国際ワークショップ「現代中国的人口流動与族群関係」を企画・主催し、2018年3月24-25日に四川大学にて開催した。四川大学、西南民族大学の中国人研究者陣および、日本からは北海道大学、東北大学、南山大学、尚絅学院大学などの若手中国研究者が参加し、活発な議論によって多くの知見を得た。このワークショップの母体となる共同研究「現代中国における内国移動とエスニシティ」(堀江主催)は、本科研課題と問題意識の重なる部分が多く、今後も本研究課題と平行しながら継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産育休のため、フィールドワークがしばらく延期になっているが、そのぶん国際ワークショップの開催や文献研究によって、成果を出すことができている。当初の予定よりも中国側の研究が先に進むかたちになっているため、ミャンマー側での研究・フィールドワークを行う時期がもう少し後ろにずれ込む可能性があるが、研究の進捗に問題の出る範囲ではない。
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今後の研究の推進方策 |
中国の諸大学との国際共同研究については、今後も積極的に続けていく予定である。次回のワークショップ開催が2008年の夏になる可能性があり、それに伴い、2018年8月に予定していたミャンマーへのフィールドワークの時期があとにずれこむ可能性がある。その場合、ミャンマーでのフィールドワークは、2019年2月、3月の雲南へのフィールドワークと時期を合わせて行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠出産に伴う産育休の取得のため、当初の予定であったフィールドワークを延期することとなった。それに伴い、海外渡航費およびそれに関する人件費を次年度に繰り越すことになった。次年度は、前年度に行う予定であったフィールドワークを行うと同時に、国際共同研究の打ち合わせのための諸経費、および国際ワークショップの開催のための諸経費や渡航費・招聘費に本予算を使用する計画である。
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