研究課題/領域番号 |
17K13284
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀江 未央 名古屋大学, 高等研究院(文), 特任助教 (80773522)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国ミャンマー国境 / 婚姻 / ジェンダー / 移動 / 中国研究 / 少数民族 |
研究実績の概要 |
本年度は、①共同研究「現代中国における内国移動とエスニシティ」を通じた中国国内の人口移動現象の地域間比較および国際ワークショップの開催、②中国雲南省およびミャンマー・シャン州におけるフィールドワークの実施(2019年2月~3月)を行った。さらに本課題に関わる研究として、③中国雲南省ラフの文化資源に関する研究およびラフの文字文化に関する研究も進めている。 ①について、2017年度より10名の学外研究者を率いて共同研究を推進している。2019年2月16-17日には、深セン市の南方科技大学において、王暁葵教授との協力のもと、第二回国際ワークショップ「現代中国的人口流動与社会変遷」を主催し、自身も「深森中的生存:雲南ラフ的“移動的慣習”與其今日的変化」というタイトルで発表を行った。 ②について、産育休からの復帰後初のフィールドワークを行った。ミャンマーから中国へと向かうラフ女性の移動ルートやそれに対するローカルな言説について、調査を進めている。雲南省では、ミャンマー側から雲南に嫁いだ女性へのインタビューを進めている。 ③について、金沢大学国際文化資源学研究センターの英語ジャーナルJOURNAL OF THE INTERNATIONAL CENTER FOR CULTURAL RESOURCE STUDIESに”Is Myth a Culture or a Religion? The Local Politics over the Cultural Resources among the Lahu in Yunnan, China”を投稿したほか、雑誌『アジア遊学』に論文「文字がもたらす権威の行方―中国雲南におけるラフ文字創設と口承文化の関わり」を寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子どもの出産および産育休の取得により、2017年度には研究上の遅れが出たが、2018年度にはフィールドワークを再開し、さらに実地調査を進めるとともに、共同研究の推進と国際ワークショップの実施、査読付き英語論文の執筆と、少しずつ研究を進展させている。当初の研究計画のなかにあった、ラフ女性の嫁ぎ先である漢族農村での調査はまだ実現できていないが、それを共同研究を通じた他地域の研究者との対話で補う努力を行っている。また、東南アジア学会の分科会でも発表して隣接分野の研究者とも議論を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究「現代中国における内国移動とエスニシティ」について、日本文化人類学会植松東アジア研究基金、京都大学IPCR(共同利用・共同研究拠点「東南アジア研究の国際共同研究拠点」)、大幸財団などへ応募してさらなる研究資金を確保しつつ研究を推進し、2020年度には共著の本を刊行予定である。また、フィールドワークに関しても、ミャンマー・雲南省双方での調査は継続予定である。ラフ女性の嫁ぎ先での調査については実現をめざして現地の人との調整中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度に子どもを出産し、産育休の取得のため研究を一時中断していた。また、復帰後もしばらくはフィールドワークにいくことができず、国内での研究会の開催や国際ワークショップに経費を使用したのみであったため、次年度使用額が生じた。また、2018年度のフィールドワークには別予算からの補助も一部受けられることになったため、科研費の使用が少なく済んだ。 次年度使用計画は、①共同研究における第三回国際ワークショップの開催(雲南省社会科学院を予定)、②フィールドワークの実施(2020年2月~3月を予定)である。
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