研究課題/領域番号 |
17K13284
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀江 未央 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (80773522)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中国・ミャンマー国境 / 婚姻 / ジェンダー / 移動 / 中国少数民族 / ラフ |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、①共同研究「現代中国における内国移動とエスニシティ」を通じた中国国内の人口移動現象の地域間比較、および②中国・ミャンマー国境におけるラフの人口移動と空間認識に関する研究を行った。 ①については、研究成果として、共著書籍『中国の国内移動-内なる他者との邂逅』(川口幸大、堀江未央編、2020、京都大学学術出版会)を刊行した。報告者は序章「国内移動をいま論じる意味──中国と日本(川口氏と共同執筆)」と終章「「境界越しの邂逅」の持つ可能性」を担当したほか、「第4章 移動の危険に対処する呪術──雲南ラフの男たちと出稼ぎ」を執筆した。昨年度予定していた蘭州大学での国際シンポジウムは、今年度も新型コロナウイルスの影響で開催が叶わなかった。その代わり、本書の刊行後にオンラインで合評会を開催した。中国研究の分野から滋賀県立大学の横田祥子氏、地域外の移動研究の分野から神戸大学の酒井朋子氏、そして中国に関わる市民活動家として宮城県日中友好協会事務局長の白土充良氏に登壇いただき、学界内外の方との活発な議論を行った。 ②については、現在英語にて論文を執筆中である。昨年度京都大学東南アジア地域研究研究所の石川登氏および山形大学の今村真央氏とともに国際学会Euroseasで発表したパネルLocating Zomias Wet and Dry: Stateless Spaces in Maritime and Mainland Southeast Asiaについて、英語での編著の刊行を予定しており、そこに"From Refuge to Bride Source?: Marriage and Migration among the Lahu in Myanmar-China Border"と題した論文を寄稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、当初予定していた海外での調査研究がすべて実施不可能になっている。また、特に中国・ミャンマー国境においては、ミャンマー国軍によるクーデタの発生以来不安定な状況が続いており、新型コロナウイルスの影響如何に関わらず、入国が困難になっていることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、引き続き中国河南省や安徽省に嫁いだラフ女性への追跡調査および中国雲南省に嫁いだミャンマー出身女性の調査の可能性を探る。だが、もし年度内にこれらの調査が遂行不可能である場合、中国人研究者との連携や情報共有を行うとともに、中国国内で刊行された最新の研究論文や統計データなどを二次資料として引用しつつ、女性の連鎖的結婚移動の実態把握とレビュー論文などの執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響、フィールドワーク予定先での政変、および肉親の病気・入院のため、本研究の実施において必要な中国河南省および安徽省、雲南省におけるフィールドワークを行うことができなかったため。また、蘭州大学と共同で行う国際会議にも本経費を一部支出予定であったが、そちらも延期となったため、次年度使用額が生じた。2021年度は、2021年9月および2022年2月にフィールドワークを実施する予定である。
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