研究課題/領域番号 |
17K13284
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
堀江 未央 岐阜大学, 地域科学部, 助教 (80773522)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中国・ミャンマー国境 / 婚姻 / ジェンダー / 移動 / 中国少数民族 / ラフ |
研究実績の概要 |
本年度は、フィールドワークを実施することが困難な状況が続いているため、①共同研究「現代中国における内国移動とエスニシティ」の成果の歴史的視点からの発展、②中国における漢族とラフ族の歴史的な接触の変遷を通した「共生」理論の枠組みの精緻化、③中国におけるジェンダー研究の歴史の理論的整理、の作業を行っている。
①については、Encountering Others within: Critical Studies of mobility and ethnicity in Chinaというタイトルの英語論文特集を台湾の『亞太研究論壇』に投稿するため、議論を進めている。特集執筆メンバーは、中国のトン族と漢族の交流の歴史を取り扱う黄潔氏(名古屋大学)、内蒙古のモンゴル族と漢族との交流の歴史を扱うボウサラ氏(東北大学)、上海から雲南へと移住させられた漢族の経験を取り扱う孫潔氏(佛教大学)である。 ②については、東南アジア境界域の研究者たちとの対話を通じて共生概念の精緻化に向けた議論を進めている。その成果は、東南アジア学会第103回研究大会において、「東南アジアの境界域および紛争経験社会からみた共生的関係と身体」と題したパネルで報告した。 ③については、中国民族誌学において、ジェンダー研究がどのような変遷をたどってきたのか、またそのなかで描き出されてきた中国各地の女性の立ち位置がどのようなものであったのかを明らかにすることを通して、現代的な女性の移動と結婚に伴う家族関係の変容を理解する視角を明確化することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、当初予定していた海外での調査研究がすべて実施不可能になっている。また、特に中国・ミャンマー国境においては、ミャンマー国軍によるクーデタの発生以来不安定な状況が続いており、新型コロナウイルスの影響如何に関わらず、入国が困難になっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、引き続き中国河南省や安徽省に嫁いだラフ女性への追跡調査および中国雲南省に嫁いだミャンマー出身女性の調査の可能性を探る。だが、もし年度内にこれらの調査が遂行不可能である場合、中国国内で刊行された最新の研究論文や統計データなどを二次資料として引用しつつ、女性の連鎖的結婚移動の実態把握を歴史的観点も含めつつ進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的拡大およびミャンマーにおける軍事クーデターに伴い、フィールドワークに行くことができなかったため。
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