研究課題/領域番号 |
17K13286
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 玲子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特定助教 (10757587)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 文化産業 / インド映画 / 地域語映画 / Prabhat film / ボリウッド / マラーティー語映画 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、グローバル化を志向するインドのボリウッド映画界と、地域に根ざした映画を制作するマハーラーシュトラ州のマラーティー語映画界の相関関係の分析を通じて、多層的に成立しているインドの文化産業の実態を明らかにする事である。現在、グローバルを志向するボリウッド映画に対して、ローカルなものを希求する地域語映画のマラーティー語映画が隆盛する状況が生まれている。二つの世界は決して対立して分離しているのではなく、人・モノ・知識・技術が循環しながら多層的に構成されている。本研究は、インド映画産業の多層化の動きとそのなかの文化交流の様相を描き出す。 今年度は、インド・マハーラーシュトラ州で制作されているマラーティー語映画の制作状況および、歴史的背景の研究調査をおこなった。特に、20世紀初頭に映画制作をおこなっていたPrabhat filmに注目し、その関係者の子孫へのインタビューおよび、残された資料の収集・読解を重点的におこなった。その結果、現在のボリウッド映画、地域語映画がどのように分派していったのか、どのような点に共通点が残っているのかという点が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、国立民族学博物館デジタル・ライブラリプロジェクトの支援を受け、インド映画産業にまつわる写真と動画のデータベース構築をおこなった。その為、当初の予定よりも早く、インド文化産業の構造把握などが進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度は研究のまとめの年である。初年度および二年目までに収集したフィールドデータや文献研究の成果をまとめ、査読付海外ジャーナルへの投稿をおこなう。前半は、これまでのデータの整理、分析をおこなう。7月~9月にかけては、インド国立テレビジョン&フィルムインスティテュート(プネー)および、インド映画研究に関して多くの研究蓄積を保有しているロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)のメディア研究センターにおいて、資料の補足をおこなう。最終的な成果は、ライデン大学でおこなわれる国際アジア研究者集会での研究発表および、South Aisan Popular Culture誌へ論文として投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
データベースの構築に関する謝金を計上していたが、国立民族学博物館デジタルライブラリプロジェクト(DiPLAS) の支援を受け、データベースを構築することができたため、当初予定していた人件費の支出をおこなわなかった。
|