最終年度である本年は、これまで得られたインド映画および大衆文化の諸アクターに関するデータ分析をおこなった。既存の大衆文化研究においては、大衆の鬱憤のはけ口としての「映画」という理解がなされてきた。一方、社会派映画を鑑賞するのはエリート層のみといった分析もなされ、その両者は個別の枠組みのなかで分析されてきた。本研究では、「ボリウッド映画」や「地域語映画」をそれぞれ個別独立のカテゴリーとし分析するのではなく、両者の相関関係に着目して、映画産業の多層化構造を動態的かつ通時的に分析おこなった。その成果を、単著および口頭発表の場で発表することで、議論の深化に努めた。一方で、コロナウィルスの世界的流行により、予定していた国際学会が中止となり、国際的に研究成果の発表をおこなうことができなかった。本研究課題は今年度で終了となるが、今後はオンライン学会なや国際誌への論文投稿をおこなうことで、インド映画研究の新たな方法論構築について、国際的にも議論を進めていく。
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