研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染症の流行により、参加を予定していた学会が中止になったり現地調査ができなかったりして思ったように研究が進まなかったが、代わりにこれまで滞りがちであった執筆に集中することができた。 2020年度中、“Ya'qub Nakhla,” "Tarikh al-Umma al-Qibtiya," David Thomas and John A. Chesworth, eds. Christian-Muslim Relations. A Bibliographical History, Volume 18 The Ottoman Empire (1800-1914), Leiden: Brill, forthcoming.を執筆した。これは、19世紀末にコプトの知識人の間でエジプトの歴史がどのように描かれたのかという点を論じたものであり、コプトの知識人がコプトは古代エジプト人の末裔であると主張し始めた初期の例として重要である。なお、このテーマは2019年度のMiddle East Studies Associationでの研究発表に関連するものであり、今後もう少し対象となる時代を広げて論文にする予定である。 ほかには、コプト共同体において重要な役割を担う教会指導者らに注目し、「『もうひとつの世界』を生きる―現代エジプトの修道制と修道者たち」を執筆した。また、2018年の招待講演の講演録として「コプト正教会における祭日と断食」を執筆した。ほかにも、未刊行の短いコラムや総説をいくつか執筆した。
|