研究課題
若手研究(B)
エジプトの宗教的マイノリティであるコプト正教徒が持つ、コプト正教徒としての宗教的アイデンティティとエジプト人としての民族的アイデンティティの関係を検討した。それにより、コプト正教徒(特に世俗的知識人)の間では、両者が結びついていると主張・認識されていることが明らかになった。この事例研究により、エジプトにおける宗教集団間の共存、およびコプト正教徒のエジプト国民としての統合を支える要因を思想面から明らかにすることができた。
エジプト近代史
エジプトの宗教的マイノリティであるコプト正教徒の歴史認識や聖人崇敬のあり方を分析することにより、彼らの宗教的アイデンティティが民族的アイデンティティ(すなわちエジプト人であるという意識)と結びついていることを示した。これにより、あるマイノリティ集団がマジョリティとは異なる独自な集団意識を持っていても、その国家への帰属意識が薄まるわけではなく、むしろマジョリティとは異なる観点からその国家との結びつきを構築している場合があることを具体例をもって示すことができた。