研究課題/領域番号 |
17K13294
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
三竝 康平 帝京大学, 経済学部, 助教 (50767473)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中国 / 経済制度 / イノベーション |
研究実績の概要 |
研究期間の初年度であるため、本年は研究資料の収集と整理、データベースの構築と基礎的な分析の実施および研究論文の執筆を行った。具体的には、本研究の目的は、中国におけるイノベーションと制度の連関関係について、データベースをもとに実証的に明らかにすることにあるため、本年度は主に、中国鉱工業企業データベース(HUAMEI)および中国国家統計局が出版している各種統計資料をもとに、データベースの構築・整備作業に取り組んだ。あわせて、北京において中国語文献(統計データ)の収集も実施した。 本研究は「制度」に関する研究と「イノベーション」に関する研究で構成されている。前者については、これまで実施していた共同研究者である中兼和津次(東京大学名誉教授)との研究を継続実施し、国際学会であるAPEA(Asia Pacific Economic Association)にて発表した(共同研究者)ほか、国内学会(中国経済経営学会および比較経済体制学会)にて発表した(研究代表者)。後者については、本年度は主にデータベースの構築・整備作業が中心であったが、イノベーションに関連する研究として、共同研究者である榊原雄一郎(関西大学教授)との共著論文(英語)を発表することができた。これまで、イノベーションに関する研究は非常に多くなされてきたが、中国において重要である「制度」との連関という視点は優れて独創的であり、二年間という短い研究期間の中で、その初年度にある程度の学術的成果を発表できたことは、特筆すべき点として挙げておきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、本研究は中国における「制度」と「イノベーション」の連関関係という視点から、中国の持続可能な経済発展について考察することを目的としている。したがって、本研究は「制度」と「イノベーション」の二つの研究をそれぞれ並行実施している。2年間という限られた分析期間の中で、その一年目として、英語論文を発表し、複数回の学会発表を実施できたことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。ただし、「イノベーション」分野のデータベースの構築は、1年間で30万社程度を収録する大規模企業データベースを利用していることから、そのデータクリーニングに時間がかかった。その作業については、次年度も継続実施することにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
第二年度(最終年度)においては、一年目に実施したデータベースの整備作業を継続しつつ、本格的な実証分析に取り組むこと、そして、研究期間を通じて実施した各種研究を取りまとめ、成果として対外的に公表することが目標である。後者についてはすでに、国内での学会発表に加え、米国ロサンゼルスで開催予定の国際学会にて研究成果を発表することが内定している。あわせて、査読付き英文誌への投稿作業も並行して進めている。引き続き、様々な形で研究成果の公表を模索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は研究期間が二年間(予定)であり、厳しい時間的制約のもとで研究実施およびその成果の対外公表が求められる。したがって、研究成果がまとまったものから順次発表する必要から、資金的余裕をもたせるため、平成29年度において二度の前倒し支払請求を実施した。ただし、研究を遂行してゆくなかで、その一部については平成29年度中には公表できなかったため、次年度使用額が発生した。ただし、研究自体については適切かつ順調に進んでいるため、次年度使用額が生じたとしても何ら研究遂行の支障にはならない。平成30年度(最終年度)も引き続き、適切に研究を実施してゆきたいと考えている。
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