本研究では,格差の縮小をともなう経済発展を遂げた2000年代のブラジルに着目し,地域経済の発展パターンについて質的かつ量的な検討を行った。ローカルに展開されるボトムアップ型の開発形態について,ブラジルでは行政レベルにおける制度面での整備や実施主体間のネットワーク化が進んでいることが明らかとなった。くわえて,市町村に該当する基礎自治体「ムニシピオ」の単位で実証分析を行うことで,グローバルな市場とのつながりや大都市であるかどうか,住民の年齢構成,宗教的多様性や治安といった要因が地域単位で投票行動を特徴付けるとともに,地域経済発展に影響を及ぼすことを示唆する研究結果を導き出した。
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