研究課題/領域番号 |
17K13297
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研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
大久保 実香 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (50636074)
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研究期間 (年度) |
2019-02-01 – 2023-03-31
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キーワード | 山村 / 他出者 / 集落 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、当初計画していた山梨県での調査は実施せず、滋賀県および京都府での調査を実施した。これまで継続調査をしてきた集落での本調査を実施することができなかった一方、調査集落を広げたことで、各事例の相対化につながった。調査を実施した集落では、近隣の町に住む他出者が、通いで、あるいは夏だけの季節居住で、山村集落へかかわっていた。他出者同士の交流のあり方は、集落によって状況が異なっていた。また、他出者以外の外部者が、他出者・他出二世とも連携しながら多彩な事業を進める事例が複数あることがわかった。 集落で受け継がれてきた在来の知識や技能のうち、特に食事文化とその継承に着目した情報収集を行った。調理法のように地理的な範囲を簡単に超える情報とその土地で入手できる食材との双方が必要であること、祭りなどのハレに関する食事と日常の食事の双方の側面があることから、食事文化は、他出者・他出二世と出身村・他出先との関係を検討する糸口となるトピックであると考えた。その集落でないとうまく漬からないとされる漬物があるなど、集落の場所と深く結びついた食があることがわかった。在来野菜の栽培を通じて、山村集落に他出者や外部者が集う活動の事例も見られた。外部者がそれぞれの興味関心に応じて、在来の知識や技能を習得するという事例は多数見られ、在来の知識・技能とその継承への関心の高まりがうかがえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、計画していた山梨県内のフィールドでの調査を実施しなかった。継続して調査を進めてきた集落での調査を実施せず、新規のフィールドでの調査を実施したことで、特に他出二世に関する情報収集について進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況にもよるが、引き続き、滋賀県および京都府での調査を中心として進める可能性がある。他出二世への調査については、同じ集落の出身者を対象とするという当初の計画を変更する可能性も含めて、可能な方法を検討し実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大の状況により、調査や学会等での遠方への出張を実施しなかったため次年度使用額が生じた。今年度実施しなかった調査については、次年度以降に実施する計画であるが、状況によっては調査地点の変更も検討する。
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