研究課題/領域番号 |
17K13300
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
跡部 千慧 静岡大学, 男女共同参画推進室, 助教 (70780823)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 女性のキャリア形成 / ワークライフバランス / 戦後女性労働史 |
研究実績の概要 |
女性の継続就労と管理職登用の課題を、小中学校教員を対象とした歴史的事例から考察する本研究では、当初たてた研究計画の一部を変更しつつ、おおむね初年度に必要な作業を終えることができた。 (0) まず、女性労働史研究の方法論の検討については、教育研究における小中高校の女性管理職出現過程の研究や、女性労働史研究の方法論に関する研究の文献リストを作成し、読み進めた。さらに、調査を進める中で、家族研究の知見を織り込む必要性に気づき、文献リストを作成した。 (1) 日教組教育図書館に所蔵されている『日教組運動資料(婦人)』『日教組婦人部総会・委員会資料』『日教組婦人部報』から該当資料を収集し、小中教員の背後に位置付く、日教組婦人部の運動展開を考察した。 (2) 小中学校教員へのインタビュー調査も進めた。調査対象者は、1960年代にA県B大学教育学部を卒業したある1学年の教員たちである。A県B大学教育学部への同窓会に参加することによって、調査協力者を集めることができた。平成29年度に、退職女性教員8名に調査をし、さらに、比較対象として、管理職(校長)に到達した女性教員1名の合計9名への調査を遂行した。 以上の成果を、国際ジェンダー学会2017年度大会(平成29年9月)、日本労働社会学会第29回大会(平成29年10月)にて報告し、ジェンダーと社会政策の専門家や、女性教員の管理職登用を研究してきた専門家から助言をもらった。また、研究成果をまとめた論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
女性労働史研究の方法論の検討と、史資料分析およびインタビュー調査をもとに、国際ジェンダー学会2017年度大会(平成29年9月)、日本労働社会学会第29回大会(平成29年10月)にて口頭報告し、投稿論文をまとめることができた。 また、A県B大学教育学部の同窓会を通じて、9名にインタビュー調査をすることもできた。 以上のように本研究は大筋において順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(0)女性労働史研究に関する文献研究をさらに進めるとともに、女性教員の「仕事と家庭の両立」を分析するにあたり、家族研究の知見を織り込んでいく。この作業を通じて、労働と家族研究の到達点を明瞭にし、本研究プロジェクトの研究方法と課題設定とを探っていく。 (1)すでに収集した資料をもとに、インタビュー調査のデータとの関連性を整理していく予定である。 (2) 小中学校女性教員へのインタビュー調査はある程度進められたので、当初の計画に沿って、組合役員の経験のある女性教員および男性教員への調査を進めていく。 (3)平成27年度でほぼあたっているが、女性労働政策や、教育政策、女性学校管理職研究の知見と比較することによって、包括的に戦後の女性教員のキャリアを位置づけていく。
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