研究課題/領域番号 |
17K13302
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
志柿 浩一郎 同志社大学, アメリカ研究所, 助教 (70734630)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ / メディア史 / 女性史 / 公共放送 / 教育番組 / 放送通信政策 / 連邦通信委員会 / フリーダ・へノック |
研究実績の概要 |
本研究は、アメリカ女性史およびアメリカ・メディア史研究の一環として、女性初の米国連邦通信委員会 (FCC) 委員として知られる東欧系ユダヤ人女性 Frieda Hennock (1904 -1960) の思想と行動を対象に、その業績の再評価を行うことを目的とする。その際に、1) 彼女の業績は、ジェンダー、マイノリティ、メディアの各領域にまたがるものとして評価されるべきであり、また、2) これらの領域において1950年代当時はまだ広まっていなかった多様性の創出という基本理念に基づいて行動し、主張した点に彼女の先見性、独創性があったことを明らかにする。そのことを通して、ジェンダー研究およびメディア研究の深化に貢献することを目指す研究である。
研究目的に達成するには若干時間を要するものの、概ね研究は順調に進んでいる。本研究を実施するまでに収集した資料に基づいて、2017年7月にコロンビアで開催された国際学会IAMCRにおいて成果を発表した。現在、発表で指摘された点やアドバイスを反映させ、その成果は海外で知られている学会誌に投稿中であり、結果をまっている。また、昨年度はHarvard University, Radcliffe Institute of Advanced Studyにおいて資料収集および調査を行った。今年度は、引き続き不足した分の歴史資料を収集する予定である。今年度より積極的に、研究成果を公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進んでいるとした理由として、次の理由があげられる。まず1点目は、研究時間が充分に確保でき、研究計画どおりに概ね進んでいることがあげられる。2点目としては、研究目的を達成するには、さらなる資料収集と分析が必要ではあるものの、昨年度さらなる史料収集を行うことができた。加えて、充分な時間を研究活動にあてることができたため、研究計画書で示した予定よりも早く一部成果を国際学会で発表できた。また、途中経過であっても研究成果を共有したことで、若干のネットワークが広がった。このネットワークを利用し、研究に対する外部の視点を取り入れることが可能になり、それを踏まえた上で研究を実施することができた。そのため、個人でやみくもに研究を進める状況ではなくなり、研究の効率も向上したと考えている。また、効率があがったことにより、当初の予定よりも史料の分析が早く進んでいる。次年度は、この状況を踏まえ研究計画を再度立て直す予定でいる。大幅な変更はないものの、予定よりも早めに成果をまとめ公表することも考えている。ただ、所属先の状況が若干過渡期にあり対応が求められることがこれまでもあり、その点が研究進歩状況を遅らせる要因になるのではないかという懸念がある。当然、多くの業務を遂行しながら、研究を進めていくべきであるが、若干の研究計画の調整が必要であると感じている。概ね、研究は順調に進んでいることから、成果を早期に共有することに集中していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は主に、対象となる史料が集中しているボストンを中心に研究活動を実施した。それを踏まえて、まだ収集していない史料がトゥルーマン図書館に保管されているため、今後は研究計画で示したとおり、他公文書館およびアーカイブセンターにおいてさらなる研究をすすめる。また、アメリカ放送史および1950年代のアメリカの放送・通信政策の全体像をつかむために、連邦通信委員会の史料も収集する予定でいる。くしくも、冷戦時代と重なっており、歴史研究上においてもさらなる研究を進めていく予定である。
また概ね純情に研究が進展していること、また国際学会や学会誌での研究成果の共有も予定よりも若干早く進んでいることを踏まえ、今後研究をすすめていきながら、そこで得られた成果は予定よりも早くなるものの、積極的に共有していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、現地への渡航費および、3週間の現地公文書館とアーカイブセンターにおける研究調査のための旅費として研究を実施した。その予算は、合計716,600であり、当初請求していた合計よりも若干すくない予算で研究を実施することができた。その分の差額は次年度に持ち越したため、このような次年度使用額が生じた。本使用額の範囲ないで、現地における研究調査を続けるとともに、学会等での研究成果の発表、および研究成果の英文校正費用にあてる予定でいる。また、アーカイブセンターでのコピー費用および史料撮影ようの機材を購入する予定でいる。
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