本研究では、近年、国際的に誘致競争が激化している国際会議(コンベンション)に関する研究を行う。国際会議誘致活動に関しては、観光庁や日本政府観光局において諸々の取り組みが実施されている。国内の国際会議主催者が会議を誘致する際の開催地選定基準や国外参加者が日本で開催される国際会議への参加動機について解明されていないまま進められている。そこで、本研究では、(1)国外の既存研究と我が国で開催される国際会議の諸要素の相違点の解明を行い、(2)国内主催者の開催地選定と国外参加者の参加動機の要因のギャップ分析を行うことで我が国が抱える課題を抽出し、(3)国内の国際会議開催地における改善指針の策定と提言を行う。本研究は、現在、訪日外国人数拡大を図るべく日本政府が誘致を推進するインバウンド観光の発展に寄与するものである。 最終年度である2018年には、本研究の成果として国際会議論文と学術論文を投稿しており、さらに海外での講演を行っている。国際会議論文では、「International Convention Destination: Researchers' Preferences and Requirements」と題する論文を発表している。本論文では、本研究の(1)の目的を明らかにしている。次に学術論文では、本研究の(2)の目的を概ね明らかにしている。また海外講演として、インドネシア・マッカサルにおいて「New Trends in Event Tourism Research」と題する報告を行った。その講演の中で本研究の成果として、本研究の(3)の成果について詳しく触れている。 一方で、本研究の目的(2)の国外参加者の参加動機の要因分析が不十分であるとの課題も残った。国外参加者の参加動機について論文でも触れているが、サンプル数が十分とは言えない。そのため、今後も継続的な調査を実施することで、より精度の高い国内主催者の開催地選定と国外参加者の参加動機の要因のギャップを明らかにすることができる。
|