研究課題
今年度は、シェリング芸術哲学の理論の応用可能性に関して資料調査を進めた。前年度までに調査したシェリングの芸術体験および実践活動と芸術哲学の理論とを照合することによって、芸術哲学と作品分析の相互影響関係を検討した。シェリングの雰囲気概念と同時代の画家による風景画との接合点を、両者の産出的自然の概念に照らし合わせて論証した。さらに、シェリングのバイエルン王立造形芸術アカデミーでの書記長としての芸術実践活動について資料調査を進め、同時代の芸術教育と芸術家に対してシェリングが与えた影響を検証した。今年度の主な研究成果は、国際学会誌への査読付き論文2本(招待あり)、国内学術雑誌への査読無し論文2本、翻訳1本、国際学会2件(発表採択済み)、国内講演会1件である。中でも2020年12月に北アメリカシェリング協会公式ジャーナル『Kabiri』において発表した英語論文は、雰囲気概念と産出的自然概念に着目して、シェリング芸術哲学と同時代の風景画家コッホの絵画とを比較検討した研究であり、シェリング哲学と同時代の芸術との深い関連を論証した。また、シェリング芸術哲学において神話がどのように表象されるかを具体的な芸術ジャンルに即して検証し、英語論文として発表した(『EAA Booklet』)。さらに、2021年2月には東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)で、カントの構想力概念と比較しながら、シェリングの構想力概念が、芸術制作における創造性の議論に対していかに適用可能かについて講演を行った。以上の研究により、シェリングの芸術哲学と彼自身の芸術実践活動・作品分析とが相互影響関係にあることを明らかにすることができた。
すべて 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Academia Letters
巻: - ページ: -
ヘルダー研究
巻: 24 ページ: -
Kabiri: The official Journal of North American Schelling Society
巻: 2 ページ: 67-89
EAA Booklet, East Asian Academy for New Liberal Arts, The University of Tokyo
巻: 1 ページ: 43-61
シェリング年報
巻: 28 ページ: 46-52
10.32297/schellingjahrbuch.28.0_46